作業員の安全管理をAIで支援 建設現場に潜む危険を知らせるサービスとは?:メンテナンス・レジリエンス OSAKA 2022
建設現場では作業員の安全確保を第一に考え、さまざまな取り決めがなされている。作業前には安全を守る装備の装着を確かめたり、現場で危険区域を設定して人が立ち入らないようにしたりなど確認項目は数多い。しかし、安全管理を人力で運用しているとケアレスミスの発生を完全になくすことは難しい。こうした課題解決に向け、AIを用いてチェックをサポートするサービスに注目が集まっている。
コムシス情報システムは、「メンテナンス・レジリエンス OSAKA 2022」(会期:2022年12月7〜9日、インテックス大阪)で、建設現場の安全管理をAI技術でサポートするサービスを紹介した。
建設業界では作業員の安全を守るために多くのルールが存在する。まず、現場に入るためにはヘルメットやフルハーネス安全帯がきちんと装着されているかをチェック。現場によっては、人が入らない危険区域を設け、事故などが起こらないようにしている。こうした取り決めをきちんと運用するために、各企業は多くの時間や手間をかけているが、チェック漏れなどが起こる可能性はどうしても残ってしまう。
安全具の装着チェックをAIがサポートし、ケアレスミス防止を徹底へ
コムシス情報システムは、作業前の安全具装着点検を対象にAIによる装着判定サービス「AIJO Safety」を提供している。スマートフォンでヘルメットやフルハーネスを装着した作業員の写真を撮って、サーバに送信するだけで、AIが自動で装着の有無を判定する。
従来の現場運用では、代表者がその場で一人一人を目視で確認していく。装備に不備のある作業員がいればもう一度付け直したものを確認し直す必要があるため、二度手間となっていた。
AIJO Safetyでは、AIをチェック工程に挟むことで、装備に明確な不備がある作業者はその場で付け直し、代表者が確認に費やす手間や時間を削減できる。さらに判定結果は画像と一緒にクラウドで保管されるため、遠隔でもチェックが可能となり、安全管理が徹底される。AI判定、現場代表者、遠隔地の確認者それぞれの判定結果を記入して、一覧で把握もできる。
また、作業人数が多い現場向けにはタブレット端末に同様のサービスを組み入れ、現場に置くだけで判定ができる「AIJO Safety S」も提供している。
ブースで説明した担当者は、「安全管理は重要でありながら、コストがかけづらい分野。AIJO Safetyは当社が通信工事の現場で直面した課題解決のために開発したサービスなので、コストが安くて現場で役立つ」と話す。
危険区域への人の立ち入りをAIで検出し、作業員の安全を確保へ
コムシス情報システムではAI技術を活用し、作業中の安全を守るサービス「AIJO Site Monitor」も開発している。建設機械の動線など、危険区域に人物が立ち入った場合に、AIが人の動きを検出して、危険が起きないようにアラートを鳴らす。従来の現場ではセンサーによる検出などで対処していたが、人以外でも動きがあれば作動してしまい、適正な警告ができないケースが多かった。
AIJO Site MonitorのAIは現場に設置したネットワークカメラで、人や骨格の動きを正確に見分けて警告を流す。危険区域の立ち入り以外にも、不審な人物の立ち入りや作業者の労働管理、来訪者の通知とさまざまな場面でツールは応用できるため、現場管理の効率化への効果が期待されている。
先ほどの担当者は、「AIを活用することで現場管理のさまざまな点を効率化できる。そのため、管理者や作業員は、空いた時間を生産性向上に使えるようになる」と語った。
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