東大 永谷氏が語る建機自動化で「できていること・期待されること」、標準プラットフォームの重要性:第4回 建設・測量生産性向上展(1/3 ページ)
ここ10年ほど、日本の建設業では就業者数が伸びていない。就業者の年齢構成も高齢化が進んでいる。また、生産性も全産業に比べて低いという実態がある。建設DXのなかでも、建設機械の自動化は、このような状況を変えるためには必要とされている。建機の自動化によって生産性が目に見える形で上がれば、建設業の魅力も高まり、若い就業者が増加するという好循環が期待できる。
ロボティクス・建設機械分野で研究を続ける東京大学大学院 工学系研究科 「i-Constructionシステム学」寄付講座 特任教授 永谷圭司氏は、「第4回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」(会期:2022年5月25〜27日、幕張メッセ)で「建設ロボットによる建設業の生産性向上に向けて〜できていること・期待されること〜」と題する特別セミナーを行った。講演では、建設業の生産性向上策として建機の自動化に焦点をあて、関連の技術が紹介された。
建設業の現状改善には、DX導入が急務
総務省の「労働力調査」によると、建設業就業者の年齢構成は、全産業に対して55歳以上が5%多く、29歳以下が5%少ない(2020年時点)。つまり、他産業に比べて高齢化が進んでいるといえる。また、就業者数も減少傾向にあり、製造業が年々生産性を高めているのに対し、建設業は横ばいの状態が続いている。
登壇した永谷圭司氏は、i-Constructionを実現するための研究開発を行い、そのシステムを実践するプロフェッショナル育成の学問体系を構築する目的で、東京大学大学院 工学系研究科に2018年10月に設立された「i-Constructionシステム学」寄付講座に属している。
永谷氏は、建設業の現況を改善するには「自動化の導入が急務」と提言する。ただ、建設業ならではのネックもあると話す。
建設業は、製造業と違い、同一の製品を大量に生産することはない。建築は常に“一品生産”であり、他の産業での生産性向上策をそのまま導入するのは難しい。しかし、永谷氏はこの側面面をむしろ良い特徴として捉えている。「大量生産しないっていうところがポイントだが、実はうまくやれば、まだまだ生産性を大幅に改善できる可能性を残しているとも言い換えられる」。
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永谷氏は、建設業の生産性向上で避けては通れないDXの定義を再確認する意味で、デジタルカメラの普及を例に、インフラを対象としたDXの3段階を説明した。
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