自動配送ロボやドローン、音楽を用いた4つの5G事業を採択、サムライインキュベート:5G(5/5 ページ)
東京都が推進する「5G技術活用型開発等促進事業」で、2021年8月からスタートアップを支援するプロモーターとして採択されたサムライインキュベートは、最長3カ年度の長期サポートで、5Gイノベーションの街中実装と事業化を推進するアクセラレータプログラム「GO BEYOND DIMENSIONS TOKYO」を主催し、今回のプログラムで採択された4社のスタートアップを発表した。
感性の合う場所を見つられるPlacy
Placyのアイデアは、「スマートフォン向け地図アプリ“Placy”を用いて、人と場所との関係を創り直し、良質な共創を構築する」で、三菱地所と清水建設が採択した。地図アプリのPlacyは、ユーザーがスマートフォンにより聞いている音楽で感性に合う場所を探せるもので、2020年7月20日に全国版がリリースされている。
実証では、5G通信技術と地図アプリのPlacyで、三菱地所と「人と都市とのリアルなつながり・交流を創出するリアルワールドメタバースサービス」を、清水建設と「オフィスにおける創造・共創を誘発するリアルワールドメタバースサービス」を開発していく。
Placyの鈴木氏は、「人と都市とのリアルなつながり・交流を創出するリアルワールドメタバースサービスでは、地図アプリのPlacyにより、三菱地所が管理する東京・大手町や丸の内といったエリアを中心に、来街者の感性を導き出す。次に、対象の街が持つ“感性”を可視化して、こういった街の感性価値を訴求するとともに、人と場所をつなげる仕掛けを街中に実装することで、街のブランド力向上や良質な界隈(かいわい)性、回遊性を生成することに挑戦する」と喋った。
界隈性と回遊性の生成では、地図アプリのPlacyで、来街者の感性に合う場に誘導するだけでなく、「City×Music×Game」をテーマに米国に本社を構えるナイアンティックの最新AR技術を活用した街クエスト体験と街クエストでポイントがたまるイベント「Quest to Earn」を行い、街の感性データを収集し、誘導と回遊を促す仕掛けを街中に備える。
オフィスにおける創造・共創を誘発するリアルワールドメタバースサービスでは、地図アプリのPlacyで、人と場の感性をデジタル化し、良質な共創を生み出すつながりをメタバース上でデザインすることで、コロナ禍でもオフィスに集まる価値を創出する。
具体的には、まず複数の従業員が地図アプリのPlacyで好きな楽曲を登録した状態で、オフィス内のさまざまなワークスペースで働くことにより、各スペースが有す感性を見える化したマップを作成。その後、各スペースで感性に合う環境音楽を再生し、個人・チームの創造性を高める。さらに、空間の感性に合う環境音楽を再生し、チームの共創を促進する。
清水建設の加藤氏は、「実証は、当社が東京都中央区で保有する本社の17階に設けたオフィス“SHIMZ CREATIVE FIELD”で行う見通しだ。SHIMZ CREATIVE FIELDは、設計本部のフロアで、上下に位置する事務所から騒音について苦情があり、問題を解消するために、オーディオメーカーのヤマハと協業し、スピーカーからマスキング音と呼ばれる特殊な音を出力することで遮音性を上げるサウンドマスキングも行っている。こういった施策も活用し、Placyの効果を高めていきたい」と解説した。
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