電源・配線不要で低照度で鮮明に構造物を監視するカメラを発売、OKI:防災DX(2/3 ページ)
沖電気工業は、同社が推進する防災DX事業の一環で、ソーラー発電駆動により外部電源が必要なく、夜間など暗い低照度環境でも照明を用いず鮮明に構造物を撮れる「ゼロエナジー高感度カメラ」と多種多様なセンサーで取得したデータを一括管理できるインフラモニタリングサービス「monifi」を開発した。今後は、防災DX事業全体で2022〜2024年度までの3年間で100憶円の売上を目指す。
不日照が連続で続いても9日間の動作を実現
ゼロエナジー高感度カメラの通信に関しては、920MHzのマルチホップ無線「Smart Hop※1」によるセンサー同士の連携や4Gを介したクラウドとの双方向通信に対応する他、モジュールの高度なスリープ制御とデータ送信間隔の調整で省電力化を図れる。こういった利点により、不日照が連続で続いても9日間の動作を実現し、日照の少ない地域でも使える。
※1 Smart Hop:免許不要で長距離伝送する920MHz帯無線に対応し、センサーネットワークをフレキシブルに構築する他、マルチホップ通信機能により、無線通信の信頼性を高め、さまざまな場所に配置したセンサー情報の収集や機器制御に使える
センサー同士の連携については、無線加速センサーユニットがセンシングした橋脚の傾きや超音波水位計が感知した水位の異常を検知し、ゼロエナジー高感度カメラは撮影頻度を自動で変更する。OKIの西田氏は、「ゼロエナジー高感度カメラは、平時では通常モードにより30分間隔で対象物を撮影するが、連携するセンサーや水位計が取得した値が一定のしきい値を超えた場合に、警戒モードに自動で切り替わり、5分間隔で撮るようになる。そのため、災害やインフラの変状が発生した時に、刻々と変わる現場の状況を映像に残せる」と話す。
さらに、OKIが独自開発した高効率の充電技術を導入しており、少ない日照でも充電し、従来品より電力をためられる。また、カメラには、ラギタイズ技術を採用することで、耐熱、耐寒、防水、防塵(ぼうじん)、対衝撃性を付与し、屋外でも長期間にわたり安定的に使用可能とした。雨天時には、カメラユニット内のガラス製保護カバーがセルフクリーニングを行い、水滴と汚れを除き、画質劣化を防ぐ。ガラス製保護カバーは、親水性で、帯電防止機能も備えている。
「ゼロエナジー高感度カメラの活用シーンは、災害現場と老朽化したインフラ構造物の巡視業務をリモートする場面を想定している」(西田氏)。
ゼロエナジー高感度カメラの概要
ゼロエナジー高感度カメラのサイズは、本体が230×210×165ミリで、カメラ部が146×180×229ミリ。重さは約5キロ。920MHz帯無線とモバイル通信に対応。モバイル通信はLTE-Cat.M1(NTTドコモ回線)、標準SIM。使用電源は太陽光発電とニッケル水素電池。温湿度と保管温湿度の条件はともにマイナス20〜プラス60度で10〜95%RH。防塵防水耐性はIP65で、環境対応はRoHS対応。耐熱性はUL94-V0。
カメラ部は、撮影モードが静止画撮影と自動高感度撮影の2種で、明るさは0.05ルクスで使用可能(月明り程度で撮影可)。最大画素数は1920×1080(フルHD相当)で、標準はVGAに相当。価格はオープン価格で、ゼロエナジーゲートウェイシリーズ全体の販売目標は2022〜2024年度の3年間で5000台。
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