既製杭などの出来形管理技術、国のICT施工の基準化へ検討具体化:ICT施工
国土交通省の「産学官連携によるICT施工の基準類作成」の取り組みで、矢板工、既製杭工においてICTで取得した施工履歴データによる出来形管理要領の作成が検討されている。技研製作所が国に提案し、2022年度からの基準化に向けて作業が進む。
国土交通省の「産学官連携によるICT施工の基準類作成」の取り組みで、矢板工、既製杭工においてICTで取得した施工履歴データによる出来形管理要領の作成が検討されている。技研製作所が日本建設機械施工協会を通じて国に提案し、検討が具体化した。2022年度からの基準化に向けて作業が進む。
基準類作成はICT施工の普及推進を目的とし、基準化により、「発注者指定型」の工事で発注者側から使用が指定されるケースや、「施工者希望型I型」の工事で受注者側から提案・使用することによって工事成績評定で加点されるケースが生まれ、出来形管理技術の普及加速が期待される。
日本の建設業界は少子高齢化を背景に人材確保や生産性向上が課題であり、国は課題解決のため、建設現場でICTなどを活用する「i-Construction」を推進している。ICT施工に関する基準類の作成はこの一環で進められている。
出来形管理に関するICT技術の例として、同社がシーアイテックと共同開発した杭精度管理システム「インプラント NAVI」がある。インプラント NAVIは、杭上部に設置した光学装置「360°プリズム」とトータルステーションと呼ばれる計測機器で杭の座標位置や貫入深度、変位、傾斜データをリアルタイムに取得し、杭1本ごとの精度管理と修正対処を行えるシステムだ。電子納品用の出来形帳票の自動作成や、杭の設計データと合わせた3次元出来形図の作成により「地下を可視化」できる。同技術により、品質管理の向上、出来形管理の省力化、コスト削減などを実現する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スマートコンストラクションでICT施工の全工程DXを掲げるコマツ
コマツは、「第3回 建設・測量生産性向上展」で、i-Constructionを実現する「スマートコンストラクション(SMART CONSTRUCTION)」を構成するICTソリューション群の展示を行った。会場ではとくに、土木工事の発注要件にICT施工が盛り込まれることが増えつつある現状を受け、メーカーを問わず現在利用中の旧型建機をICT化するための「スマートコンストラクションレトロフィットキット」に、来場者の関心が寄せられた。 - キャタピラーが注力する長距離での建機の遠隔操作、アリゾナのマシンを展示会場で操縦
日本キャタピラーは、「第3回 建設・測量生産性向上展」で、現場をより安全に、そしてより生産性を向上させることを掲げ、マシンを含めた最新のICT施工に対応する製品群を展示した。ブースでは、日本初公開となる長距離での遠隔操作を可能とするオペレーターステーションの実演も行った。 - 建機の位置情報や法面の変状をリアルタイムに検出、GNSSの欠点を補う清水建設の測位システム
清水建設は、GNSSを活用し、土木工事での建機の位置情報や法面の地盤変位を高精度でリアルタイムに検出する新たな測位システムを開発した。新システムでは、GNSSの欠点だった急峻な山肌のある現場でも、測位に必要な衛星数を確保して、高精度の測位が可能になる。 - 日立建機の新型ICT油圧ショベル、上下左右・深さ・高さの稼働エリアを管理可能
日立建機は、従来機より情報化施工の機能を増やした新型ICT油圧ショベル「ZX200X-7」を2021年10月1日に日本国内で発売する。