第一園芸が独自に算出した「植栽ボリューム指数」と「緑視率」を三井デザインテックに導入:導入事例
三井不動産グループの第一園芸は、オフィス機能に応じた適切な緑のボリュームを算出し、緑の配置を検討することができる独自の「植栽ボリューム指数」を開発した。加えて、人の交感神経と副交感神経のバランスを整え、リラックスした状態を作る適切な緑視率も算出した。
第一園芸は、同社の環境緑化・空間装飾ブランド「OASEEDS」が独自に算出した「植栽ボリューム指数」と「緑視率」を、三井デザインテックが東京都中央区で保有している新本社「CROSSOVER Lab」に導入したことを2021年8月11日に発表した。
植栽面積と樹高を考慮して各エリアにおける植栽のボリューム係数を設定
国内では近年、空間デザインの手法として「バイオフィリックデザイン」が注目されている。バイオフィリックデザインは、米国の生物研究者エドワード.O.ウィルソンが1984年に提唱した「人は自然と触れ合うことで、健康や幸せを得られる」というバイオフィリアの考え方を空間デザインに採用したもの。
こういった状況を踏まえて、第一園芸では、バイオフィリックデザインについて、「オフィスの機能に応じた適切な緑のボリュームがあるのではないか」と考察し、独自に植栽ボリューム指数と緑視率を算出した。最適な緑視率を構築するに当たり、独自の実証実験を行い、適切な緑量を検証した。その結果、緑視率6〜8%で、最も自律神経のバランスが理想的な状態になった人の割合が多くなった。
上記の結果を考慮し、第一園芸は、三井デザインテックが保有しているCROSSOVER Labのデザインに独自の植栽ボリューム指数と緑視率を導入した。
CROSSOVER Labでは、「Drive」「Co-creation」「Community」といった3つのエリアと、各エリアをシームレスにつなぐ「CROSSOVER ROAD」が設けられている。各エリアでは、機能に応じた植栽ボリュームを設定し、多様な植栽スタイルを組み合わせて意匠デザインを行った。さらに、インテリアとの調和やメンテナンス、ランニングコストにも配慮し、部分的にフェイクの植物も備えた。
そして、植栽面積と樹高を考慮して、各エリアにおける植栽のボリューム係数を設定し、空間内に配置された緑のボリューム係数を合計して、床面積で割った結果を植栽ボリューム指数とすることで、空間における植栽ボリュームを数値化した。
また、CROSSOVER Labの3階に設置された屋外テラス「SORANIWA(空庭)」では屋外菜園を構築した。屋外菜園は、2021年秋に運用をスタートし、第一園芸がシーズンごとに、さまざまなプランを企画し、植え付けや管理の講習会、必要な道具も用意してバックアップしている。具体的には、SORANIWAの両サイドにはシンボルツリーを配し、ビル間の影による日照不足に耐えうる植物としてオリーブとフェイジョアを植栽した。今後は、社員が自ら育て収穫した野菜や果実を味わうイベントなども行う予定だ。
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