群馬・吾妻郡がパナソニックと実現した低コストの“防災対策リニューアル”、現地見学会レポート:BCP(2/5 ページ)
世界的な気候変動の影響により、このところ日本各地で、豪雨や台風による自然災害が頻発している。そのため、避難所の拡充などの防災対策には、各自治体でも重点施策の一つと目されている。一方でメーカーサイドでもソリューション開発には余念が無く、とくにパナソニックでは、パナソニック ライフソリューションズ社を中心に太陽光パネルと蓄電池、LPガスを組み合わせ、非常時でも効率的にエネルギーを提供できるシステムを地方自治体向けに提案している。その一例として、群馬県吾妻郡での公共施設リニューアルの実例を現地レポートとしてお届けする。
■東吾妻町:役場庁舎/コンベンションホール
東吾妻町は、八ッ場(やんば)ダムの東側にある標高350メートルほどの山あいの町。NHK大河ドラマの主人公・真田幸村が幼少期を過ごした地「岩櫃(いわびつ)」として知られ、町では観光産業に力を入れている。
東吾妻町の役場庁舎は、城郭を思わせるユニークな外観をしている。1996年に建てられた町営の温泉センターを2016年に転用したためだ。
その後、2019年本庁舎の機器を更新する際にパナソニックのシステムが採用された。役場庁舎とコンベンションホールには、20kWの太陽光発電システム、44.8kWhの蓄電池、6系統のガス空調設備、約460台のLED照明、クラウドを介してエネルギー消費量を見える化するEMSなどを設置。災害時に備え、スマートフォン換算で700台が同時に充電可能な能力を持つ災害用コンセント(1750W)も用意している。
システム導入による年間電力使用量の削減目標は、約36万kWhから約24万kWhを設定。エネルギーコスト(電力、LPG、灯油)は、約1000万円から約900万円への低減を目指し、CO2は約110トンのカットとする。
先に触れたように、役場庁舎はもともと温泉施設だった建物を役場に転用している。そのためか、デッドスペース的な空間も存在したが、今回のリニューアルでは、そのスペースを蓄電池の設置場所として活用した
役場庁舎のシステムでも、非常時には太陽光によって蓄えた電力を蓄電池から取り出し、照明やコンセントへ給電。LPガスによる発電も可能となっている。
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