準天頂衛星システムみちびきとMR技術を用いたCIMデータの活用実証:CIM
鴻池組とインフォマティクスは、三重県度会郡度会町の造成工事現場「宮リバー度会ソーラーパーク」にて、「2020年度 みちびきを利用した実証事業」を行い、BIM/CIMデータの現場への実寸大のMR投影と造成工事に関する計測で成果を納めた。
鴻池組とインフォマティクスは、三重県度会郡度会町の造成工事現場「宮リバー度会ソーラーパーク」で、「2020年度 みちびきを利用した実証事業」を実施した。
同実証事業は、内閣府および準天頂衛星システムサービスが、みちびきの利用が期待される新たなサービスや技術の実用化に向けた実証事業を行う企業などを後押しするもので、インフォマティクスは、「センチメータ級測位補強サービス(CLAS)とMR技術によるBIM/CIMデータの活用」をテーマに採択された。
全長約2キロメートル、面積100ヘクタールのMRシステムの利用が難しい大規模造成を実証現場とし、準天頂衛星システムみちびきの高精度な衛星測位技術とMR技術を連携させ、BIM/CIMデータを現場に実寸大でMR投影した。また、現場の生産性や品質の向上を目的に、出来形を確認する計測機能を鴻池組が新たに開発し、工事内容の確認と造成工事に関する計測で成果を納めた。
具体的には、みちびきの高精度な位置情報により実寸大CIMデータの投影が実現し、みちびきの補強信号がMR映像を常時補正することを確認した。また出来形の計測機能においても現状の現況地盤面と、CIMデータの設計の計画高との差分の高さを計測した。
同システムの特長は、みちびきの信号が受信できれば現場内のあらゆる場所でCIMデータの位置合わせができ、みちびきのCLAS信号を受信する専用受信機を起動した後、数分でホログラフィックを表示できる点だ。
切盛り土工が行われる場所で、現況の地盤高と計画地盤高の差とともに、そのときに指定した場所から法尻や法肩までの距離を表示できる。
MR技術は工事初期の現地調査において、3次元設計データが一目でイメージでき、仮設道路などの適正な計画作り、施工段階の粗造成での活用が期待できる。また、みちびきは、GNSS測量で必要な基準局などの設置が不要で、受信機とMRデバイスのみで利用でき、コスト面でも有利である。
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