アカサカテック、ICT向け2周波RTK-GNSS受信機やアンテナ：スマートコンストラクション

アカサカテックは、センチメートル級精度の測位性能を有する2周波RTK-GNSS受信機「HDT320」「RTF500」、4周波対応マルチGNSSアンテナ「AR270」を発売した。初期化時間の短縮と低価格化を両立しており、これまで価格がネックで普及が進まなかったエンタープライズ分野への利用を推進する。

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　アカサカテックは2020年6月10日、ICT施工・産業向けに、センチメートル（cm）級精度の測位性能を有する2周波RTK-GNSS受信機「HDT320」「RTF500」、4周波対応マルチGNSSアンテナ「AR270」の3機種を発売した。

HDT320外観　出典：アカサカテック

　HDT320は、AndroidOSを搭載する堅牢型・多機能端末。重機への接続を前提に作られた強固な筐体は、米国国防総省規格の耐振動・耐衝撃性能、防水規格（IP67）、塩水噴霧規格（ASTM B-117）に準拠する。タッチ・スワイプ・フリックといったスマホ感覚の操作性、豊富な物理ポートインタフェースも有する。

HDT320の操作画面　出典：アカサカテック

　

　アラート状態を発光して知らせる警報お知らせLED、ノイズの多い現場でも聞き逃さない80デシベル大音量スピーカー、明るい屋外でも視認性を維持できる高輝度モニター、電源のない環境でも連続動作可能な内蔵バッテリーなど、現場のニーズに応える多様な機能が特徴だ。

重機などの移動体の方位を計測できるHDT320　出典：アカサカテック

　2周波RTK-GNSSを2基搭載しており、大型構造物・作業船などの位置誘導やクレーン先端位置を計測できる。2周波受診に対応し、FIX時間も大幅に短縮。精度も向上し、水平精度プラスマイナス2〜3センチ以内、高さ精度プラスマイナス2センチ程度、測位間隔は最大10ヘルツでの測位に対応する。

HDT320によるクレーン船の現在位置とクレーン先端の座標管理　出典：アカサカテック

　従来PCや無線など複数機材を要したシステムを本機1台で実現できる点も特徴の1つ。2モードを選択できる高精度GNSSコンパスとしても動作する。通信圏内であれば見通しゼロでも20キロ位まで配信可能だ。

IP65防水防塵性能を有するRTF500　出典：アカサカテック

　RTF500は、シンプルな機器構成が特徴の2周波RTK-GNSS受信機。HDT320同様、センチメートル級精度の測位を実現する。測位モードは、補正データをWi-Fi接続で受信し単体で測位できる「Ntripモード」、HDT320を基地局・RTF500を移動局として動作する「基地局モード」の2モードから選択できる。基地局モードでは10キロまでの基線長（基地局ー移動局間の距離）に対応する。

　水や粉塵（ふんじん）の侵入を防ぐIP65防水防塵性能を具備しており、1.5mの高さからの落下にも耐える安心設計も採用した。市販の単3電池で駆動するので、バッテリー切れによる業務中断も防げる。

専用アプリ「SmartMate」活用でスマホ上でも操作可能　出典：アカサカテック

　オプションの専用スマートフォンアプリ「SmartMate」を利用すれば、Bluetoothでつながったスマホやタブレット上で、単点測位や逆打計測、測線誘導などの測位モードを利用できる。計測データはクラウドサービス「regolith」上に自動同期され、各種データ形式でエクスポート可能だ。

AR270外観　出典：アカサカテック

　AR270は、優れたマルチパス耐性をもつ4周波対応の小型マルチGNSSアンテナ。高性能GNSSセラミックパッチアンテナと独自フィルタリング技術により、LTEなど不要な信号からの干渉を強力に低減。安定した測位をサポートする。

　GPS、GLONASS、Galileoなど既存のGNSS信号を全て受信でき、AVL（車両位置自動特定）ナビゲーション、海上、陸上などの多様なGNSSアプリケーションの測位精度を向上できる。30分間の水没にも耐える堅牢な筐体も特徴だ。

　新機種の今後についてアカサカテックは、ICT土工測量やi-ConstructionにおけるICT施工管理での利用はもちろん、価格が壁となり普及しなかったエンタープライズ分野にも展開していくとしている。