「リモートワーク成功の秘訣は“雑談にアリ”、サテライトオフィスに需要増」CBRE:業界動向(1/3 ページ)
CBREは、新型コロナ感染症の拡大によって、国内の企業でリモートワークが進む一方で、制度を撤廃するケースもあったことを独自調査からつかみ、導入成功には何が必要かをオンラインセミナーで説いた。
CBREは2020年6月10日、「リモートワークの成功の秘訣〜国内外の事例に学ぶ成功に導くための5つのポイントを解説〜」と題したオンラインセミナーを開催した。
残業時間の上限規制を機に、導入企業が増加
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、企業の間でリモートワークを導入する動きが進んでいる。生産性の向上や移動時間の短縮などのメリットがある一方で、日々のコミュニケーション不足やマネジメントについての課題も起きている。
セミナーでは、CBRE ワークプレースストラテジー(WPS)の担当者が、リモートワークを導入するにあたり、効果的に実施するための重要な要素やポイントについて、国内外での成功と失敗の事例を交えて解説した。
CBRE ワークプレースストラテジー シニアコンサルタント 湯浅亜希子氏は、「CBREの独自調査でも、COVID-19感染拡大防止のために行った対策として、リモート/在宅勤務の導入が2番目に多い回答となり、企業が急激な働き方の変化に直面している現状が判明した。COVID-19を機に、働き方改革は新たな局面を迎えている」と指摘した。
リモートワークについては、「感染防止や生産性向上などメリットがあるが、日々のコミュニケーションやマネジメントについて、戸惑いや困惑の声も耳にする」と話す。
ここでリモートワークを再定義すると、自宅やサテライトオフィスなど、オフィス以外の場所を活用して働くこととなる。期待される導入メリットとしては、就業者にとっては長時間労働の是正によるワークライフバランスの実現、社会には人口減少時代の労働力確保や地域活性化、企業には生産性の向上や優秀な人材の確保及び離職防止、さらに事業継続計画(BCP)と、三者三様で恩恵が受けられる。
これまでの導入率の推移を総務省の「2019年通信利用動向調査(企業編)」から読み解くと、2018年は13.9%、2019年は19.1%と、年を追うごとに増加している。理由の一つには、残業時間の上限規制が2019年に法制化されたことで、企業が就業者のワークスタイルを見直したと推測される。
同じ調査結果から、導入目的をみると、「労働生産性の向上」が最も高く、次に「移動時間の短縮」の順で突出している。
4つのリモートワーク成功要因
CBRE ワークプレースストラテジー コンサルタント 光山実穂氏は、リモートワークの先駆的な事例を紹介。成功した企業で共通しているのは、1.明確なゴール設定とトップのコミットメント、2.変革を推進するグループの設置、3.段階的な導入と継続的な改善(トライアンドエラーの繰り返し)、4.企業文化や風土に合った制度の4点。このうち、企業文化や風土に合った制度では、社員のニーズに沿った勤務制度や働く環境の整備の他、前日までに翌日の勤務時間を申請、過重労働防止のために19時以降はPCが自動シャットダウンなどが行われた。
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