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【緊急提言】「新型コロナ」災害をBIMによる業務改革の好機とすべし!新型ウイルス感染症の拡大で、業務改革を実現しよう!(2/5 ページ)

新型ウイルスの感染拡大により、2020年4月に緊急事態宣言が発令され、建設業界でも、新規受注の減少、設計の在宅勤務、工事中断など、多大な影響が顕在化してきている。ワクチンなどによる鎮静化をただ待つだけでなく、建設業にできることは果たして何もないのだろうか?新型コロナウイルスだけに限らず、自然災害や労働災害といった災害に対し、BIMなどの先端技術を使って何ができるのか、いま一度再考してみよう。そして、この災害を、自らの仕事を変える好機と捉え、業務改革を実現しよう。

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 応急仮設の配置計画プロジェクトは、熊本大学と大和ハウス工業、大和リースの共同研究である。大和ハウスグループは、これまで、2万7000棟の仮設住宅を建設してきた。


大和ハウスグループの応急仮設住宅

 基本的な仮設住宅のプランは3種類で、これを敷地に配置するのであるが、これまでは条件の確認・設計作業・打ち合せなどを繰り返し行うため、1週間近くもかかっていた。自動設計することで、施主の意思決定を速めること、大幅に設計期間を短縮することが実現する。


自動設計プログラムによる設計期間の短縮目標

 現在は、実施設計の期間短縮も検討している。設計自動化の仕組みは、DynamoというAutodeskが提供している設計用のビジュアルプログラミングツールで作られており、プログラマーでなくても、あらかじめプログラムを組んで実用的な自動化ツールを作ることが可能だ。


Revitと連携して使うビジュアルプログラミングツール「Dynamo」

 Dynamoは、全部自動で配置するというわけではなく、設計作業のプロセスに応じていくつかのプログラムが用意されているのが特徴だ。設計者のルーティンワークが無くなるが、設計者が判断する部分が残っていることで、設計者の意図を反映したプランが作成できる。


Dynamoによる4つのプログラムと、作成されたRevitデータ

 配置プランが作成されると、マスモデルからRevitのモデルに変換される。そのモデルは、パースや動画を作成したり、実施設計図の自動作成プログラムへとつながる。


自動配置プログラムにより作成されたRevitモデル

2019年千曲川決壊での仮設住宅設計のDynamo実践

 この技術は、2019年に発生した台風19号の水害時に実導入した。初めての試みだったが、配置計画の決定まで、わずか2日間で終わった。2日間の作業の中で、日照シミュレーションや動画作成までを完了。とくに、Tooのレンダリングソフトウェア「Lumion」を使ったリアルな動画は、配置計画の意思決定をスピードアップする上で、効果を発揮した。


2019年の長野水害での自動配置プログラムの実践活用

 先ほど、設計作業期間の短縮がもたらされたと書いたが、従来は動画の作成だけでも1週間はゆうに要していたので、その部分も含めると大きな成果であると思う。今後は、あらゆる災害に対しフレキシブルに対応する応急仮設住宅の供給を検討してゆきたい。

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【訂正】記事の初出時、長良川決壊としていましたが、正しくは千曲川です。上記記事は訂正済みです(2020年6月9日13時19分)。

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