標準ワークフロー記載のBIMガイドライン案がレイアウト変更や文章をスリム化:第4回 建築BIM環境整備部会(2/2 ページ)
国土交通省は国内のBIM利用が設計、施工などの各プロセスで、業務を最適化するにとどまっている状況を打開すべく、BIMの標準ワークフローなどを記載したガイドラインの作成に注力している。
標準ワークフローのレイアウトを変更
2章では、設計や施工、維持管理といった工程ごとに使用するBIMの定義や利用方法を追記した。田伏氏は、「設計や施工、維持管理の各プロセスで、BIMモデルの仕様や認識が異なるのに、ひとくくりにBIMと記載することは危険だという業界関係者からの声を受け補記した。ガイドラインでは、施工で用いるBIMは施工BIM、設計で使うBIMは設計BIMと記入している」と述べた。
2章の標準ワークフロー5パターンの図はレイアウトを変え、説明文を捕捉し、より分かりやすくした。標準ワークフローはパターン1が設計・施工段階で連携しBIMを活用するモデルで、パターン2はパターン1に維持管理フェーズを加えたものだ。
パターン3はパターン2に施工の技術検討でBIMによるフロントローディング(優先交渉権無しの技術コンサルティング)を実施することを足している。パターン4はパターン3を優先交渉権有りで技術コンサルティングするバージョンで、設計契約と同時にコンサルティング契約を結ぶタイプだ。パターン5はパターン4を実施設計段階でコンサルティング契約を締結する形式に整えたもの。
3章のパターン3〜5に関連する技術コンサルティング業務について記述していた部分には、設計に変更が生じた場合などで、BIMを使用する際は、不測の事態を想定し、事前に計画を立てておく重要性を説いた文を追記した。4章では、標準ワークフローにおける業務区分の考え方が加えられた。
会場では、今回のガイドライン素案に対して、参加者から実用性がある点を評価される一方、文章表現の修正案などが提案された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 国交省のBIM/CIMポータルサイトがオープン、基準・要領など知りたい情報を網羅
- フィンランドのICT施工事例、建設機械のオペレーターがBIMデータを活用
国土交通省は2019年7月17日、都内で「i-Construction推進コンソーシアム(第5回 企画委員会)」を開催し、現場でのICT活用の導入状況やICT施工の海外事例としてフィンランドの鉄道工事などを説明した。 - BIMガイドラインに「発注者指定」、2018年度の全営繕工事で試行
国土交通省は、BIMガイドラインの改定を行った。主な変更点は、施工BIM作成の発注者指定を明記したことと、施工段階での適用方法を複数追加で示したことの2つ。これまで施工BIMの活用は、“受注者”側からの提案のみとしか記載していなかったが、新たに公共工事で発注者指定による施工BIM作成を想定した形を盛り込んだ。2018年度に実施する施工BIM試行工事から改定ガイドラインの適用を開始する。 - BIM/CIMデータを官民で共有できるプラットフォーム構築を目指す、国交省のi-Construction動向
国土交通省では、ICT技術による生産性革命プロジェクトのうちの一つ、i-Constructionで、BIM/CIMガイドラインの策定をはじめ、大規模構造物でのCIMの試行、BIM/CIM発注者向け研修など、さまざまな施策を展開している。buildingSMART International Summit,Tokyoにおける国交省の講演から、最新のBIM/CIMの取り組みを探った。