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インタビュー

「アナログな業界で“不動産テック”を巻き起こす」、オープンハウスがAI/RPAで2.5万時間を削減不動産業界のDX最前線(2/4 ページ)

アナログな不動産業界で、他社に先駆けAIやRPAなどを導入した“不動産テック”で、煩雑な事務作業を自動化をさせ、働き方改革の実現を目指すオープンハウス――。会社設立が1997年と後発ながら、土地の選定から、住宅設計、販売までのワンストップサービスを武器に、毎年30%以上の成長を続け、2019年(2018年10月〜2019年9月)には5403億円の売上高に達するまでに発展を遂げた。ここ数年は、自前でシステムを開発できる情報システム部門を社内に設置し、新たなソリューションの創出によって、業務改善と営業機会の損失を防ぎ、さらなる業容拡大を見据える。

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10テーマのオリジナルシステムを開発

 とくにここ最近注力しているのがAIやRPAで、ディープラーニングや遺伝的アルゴリズムの高度な技術を活用した先駆的な応用研究にも着手している。「現在は、10個のテーマで業務自動化の実用化に成功し、トータルで年間2万5700時間の工数削減を達成させた」(中川氏)。

 AIの効果的な導入事例の一例としては、2018年から研究を進めてきた「宅地の自動区割りシステム」が特筆される。

 オープンハウスが都心で低価格住宅が提供できるワケは、独自の土地活用術にもある。他社では1棟分でしか販売しない都心の広い土地が入手できた場合や他が敬遠する都会に多い不整形地や狭小地でも、数棟が建てられるように広い住空間を確保しつつ、土地を分割する。高額な一等地でも分割することで、土地代が安くなり、多くの人が手の届く価格帯で販売できるようになる。


一般的な宅地の区割り図面のイメージ

 しかし、宅地の区割り(プラン図の作成)は、建築基準法や地方行政の定める条例に準拠しながら、天文学的な組み合わせのパターンから最適な一つを選ぶため、プラン作成を繰り返さなくてはならず、時間と手間がかかっていた。場所によって適用される法令が異なるため、前提となる区割りの条件が複雑で、AIに学習させることも難しく、結局のところ月何百件とある物件を専門の設計士が、手作業で分筆しているのが実情だった。

区割り自動化には、「ナンプレ(数独)パズル」の自動生成エンジンを採用

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