BIMの先に広がる可能性――。隈研吾氏の事例やGIS連携、入札アプリなどAutodeskが解説:Autodesk University Japan 2019(4/5 ページ)
建設業界では、入職者数の減少や技術者の高齢化による退職数の増加に伴い、働き手が減り、従来より少ない人数で現場を運営しなければならない厳しい状況に直面している。Autodeskは、こういった現場の生産性を向上するために、BIMやジェネレーティブデザインなどの新製品の開発を進めている。2019年10月8〜9日、東京都内のグランドニッコー東京 台場で、開催されたプライベートイベント「Autodesk University Japan 2019」では最新のソリューションや活用事例が紹介された。
リスクを優先順位を付けて表示
次に、ビクラム氏が登壇し、建設現場のさまざまな業務を自動化する製品を提案した。はじめに、2019年初旬にテスト版の提供をスタートしたリスク管理ソフト「Construction IQ」について時間を割いた。
Construction IQは、施工マネジメントアプリケーション「BIM 360」のアドオンで、プロジェクトを分析し、トラブルが発生する可能性があるリスクを表示することで、安全性を高められる。
「機械学習をベースにしたソフトで、プロジェクトが含む多くの問題やRFIの変更要求、下請け業者の管理に役立つ。取り組むべき案件を優先順位を付けて、リーダーに示すため、迅速な対応が行える。また、経営陣が計画全体の危険性を把握するのもサポートする」(ビクラム氏)。
続けて、「オランダの建設会社であるRoyal BAM Groupが、Construction IQを採用している。工事の品質と安全性に関するトラブルが20%減少したという」と付け加えた。
2018年に買収したAssemble Systems、PlanGrid、BuildingConnectedの3社が提供するソリューションについても取り上げた。
Assemble Systemsのソフト「Assemble」はオーサリングツールからモデル情報を抽出し、クラウド「Assemble Insight」上にアップロードし、チームがWebブラウザでBIMデータを確かめられるようにする。AutoCadまたはRevitでも、Assembleアドインを使用して数分でクラウド上にあげられ、モデルデータから工事スケジュールを自動生成することにも応じている。ビクラム氏は、「Assemble InsightとBIM 360を兼用することで、プロジェクトチームは共通のソースでプロジェクトの全体像を見れる」と口述した。
PlanGridのプロジェクトマネジメントクラウド「PlanGrid」は、スマートフォンやタブレットなどの端末で、図面の確認から、現場写真の登録やメモなどが進められる。2019年に追加された新機能「PlanGrid BIM」は、クラウド上で、2D図面を3Dモデルに変換でき、Revitにアドインすることも簡単で、BIMデータやシートのタイトルと番号の移行がスムーズ。ビクラム氏は、「PlanGrid BIMは、設計と実作業をより密接にするための最初の一歩にすぎない。 このような機能をさらに開発中だ」と展望を示した。なお、現在3D モデルを表示するために、「Forge Viewer」が組み込まれているが、BIM360とは連動してない。今後、Forge や BIM 360 との互換性が強化されていく予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.