大手町ビルでエレベーター制御システムと警備ロボを連動しデモ、三菱地所:ロボット
三菱地所は、施設内の警備業務の効率化と省人化を目的にした自律走行ロボット「SQ-2」の活用を進めている。2019年12月9日、SQ-2とエレベーター制御システムを連動させ、複数のフロアでSQ-2を運用するデモンストレーションに成功し、ビル内における警備業務の自動化を大幅に前進させた。
三菱地所は2019年12月9日、東京都千代田区の大手町ビルで、自律走行型警備ロボット「SQ-2」とエレベーター制御システムをオンラインで連動させ、建物の4階と6階の2フロア間でSQ-2を自律走行させるデモンストレーションを実施した。
巡回業務をメインにSQ-2を運用
大手町ビルにおけるSQ-2とエレベーターの連携は、三菱電機が開発を進める「ロボットのビル内縦横移動を支援するサービス」の先行検証事例として取り組んでいるプロジェクトで、2019年12月2日から有効性を検証している。
このサービスは、エレベーターにロボットの乗車階と降車階の情報を伝えて自動で配車するとともに、ロボットの縦移動をサポート。入退室システムとの連携にも応じており、ロボットの通行要求に基づいて、セキュリティゲートを開閉することで、ロボットの横移動をアシストする。
また、床面にアニメーションを投影し、視覚的に分かりやすい案内を通行人に提供する三菱電機が開発中の「アニメーションライティング誘導システム」にも対応している。このシステムと連動することで、ロボットのエレベーター乗降時に、搭載されたプロジェクターから床に光で移動方向を映し出し、施設内の通行人に注意喚起を図れる。
デモンストレーション後に、三菱地所 ビル運営事業部 兼 DX推進部の長井健輔氏は、「2019年8月末に大手町パークビルディングにSQ-2を導入した際は、立証業務をメインにしていたが、大手町ビルではあらかじめ定めたルートで点検が行える特徴を生かし、巡回を主な作業としている。今後もさまざまな環境で検証を進め、現場ごとのデータを蓄積し、実運用の弾みにしていきたい」と語った。
なお、今回のデモンストレーションは、東京都が実施するサービスロボットの新しい社会実装モデルのショーケース化と先端テクノロジーのPRを目的とした事業「Tokyo Robot Collection」の一環として行われた。
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