30mのスキャンを可能にするCAD/GIS向けエプソン初の大判複合機:CAD/GIS(1/3 ページ)
エプソンは、CAD/GIS向けで、これまでラインアップに無かったスキャナーとの一体型プリンタ「SC-T5450M」を2019年10月末に発売した。低価格と省スペース設計の提案で、現在3位に位置する国内コーポレート市場のシェア獲得に乗り出す。スキャナーは独自に開発し、道路や橋梁などの長尺図面であっても、最大30.48メートルまでの読み取りが可能になる。
エプソンは、大判インクジェットプリンタ「SureColorシリーズ」の水性顔料インク搭載の新機種として、プリンタとスキャナー一体の大判複合機「SC-T5450M」を含む、複合機/フォト/昇華転写の3シリーズ計5機種をリリースした。
建設・製造CADや自治体GISのニーズをねらう新モデル
2019年10月末からエプソン販売店で取り扱いを開始したSC-T5450Mは、プリンタと新開発のスキャナーが一体となったCAD/GIS向けA0ノビ対応の大判複合機。これまでエプソンの大判プリンタには、CAD/GISを対象にハイエンドから、スキャナーを別途上部に搭載した旧機体、2018年にリリースしたエントリー機まで幅広いラインアップがあったが、プリント/スキャナー/コピーを完全に一体化させた複合機モデルは無かった。
エプソンのコーポレート市場のシェアは2015年に19.3%だったが、2018年に上市したCAD向けエントリーモデルの「SC-T3150」(A1プラス対応)と「SC-T5150」(A0プラス対応)が好調で、21.5%まで伸長している。
新モデルの位置付けとしては、図面のデジタル化の流れを見込み、建設業に加え、新たに製造業のCADと自治体のGISをターゲットに据えている。その上で、顧客が大判プリンタを導入するにあたって壁となるのは「省スペース・低価格」と想定して、これをクリアする新機種を今回投入するに至った。
SC-T5450Mのウリの一つ、省スペース設計は、従来機では本体の上に乗っかっていたスキャナー部を本体の前面に配置することで、従来機よりも16センチ奥行きを縮減。現行のA0ノビ対応モデル「SC-T5MFP2」と比較すると、設置面積は約20%縮小の1.04平方メートルで、壁のベタ付けが可能となり、スペースの限られた設計事務所や建設現場での導入にも適する。
スキャナー幅も7センチで、下部スタンドの奥行き内に納まり、例えば通路に置くケースが多い市役所に採用されても、出っ張りがないため、歩行者の妨げにはならない。上部がフラットになったことで、大判の図面や長尺の地図でも、プリンタの上に原稿を置いてセットでき、その場でプリンタを台にして出力物の確認も行える。
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