解体工事の“多重下請け構造”を解消!施主と業者をLINEでダイレクトマッチング:建設テックで変わる解体業界(3/4 ページ)
愛知・名古屋に本社を置くベンチャー企業クラッソーネは、「豊かな暮らしで人々を笑顔に」をミッションに掲げ、“解体工事”に特化したB2C向けのマッチングサービスを展開している。 9期目となる2019年度は、ベンチャーキャピタル(VC)から資金調達を行い、ITを建設分野に応用する技術革新「建設テック(CON-TECH)」を目指し、スマートフォンのLINE上でユーザーと解体工事会社をダイレクトにマッチングさせ、業界の多重下請け構造を解消する新サービスの準備を進めている。
年々拡大を続ける解体市場
――他のマッチングサービスとの違い
川口CEO 建設業界向けでは、元請けと下請け、下請けと職人をつなぐマッチングサービスはあるが、くらそうねは施主と2次以下の下請け工事会社をダイレクトにつなぐことで、多重下請け構造の解消を目的としているのが他に無い特長だ。
施工会社側には、簡単に見積もりを出してしまうと、簡単に断られてしまうという懸念があったが、くらそうねでは成約後に始めて手数料が発生する。そのため、見積もりまではノーリスクで利用することができる。
建設業界で叫ばれている人手不足の要因は、多重下請け構造にある。なぜ人が集まらないか?それは現場が過酷な割に、給与が低く、業界に魅力を見出せ無いためだ。社員の所得を下げているのは、ヒエラルキーの下に位置する下請け会社の利益率が悪いから。くらそうね解体/エクステリアを利用することで、施主は3割近くのコストを抑えられ、解体工事会社も1割ほど、実際に手にする金額がアップする。WIN-WINの関係が成立し、元請け依存型の収益構造から脱却することが実現する。
――解体市場の見通しと、LINE連携の新サービス
川口CEO 国内では年間約50万棟が解体されているとされ、このうち約45万棟を戸建て住宅が占める。一般的に築40年を迎えると、解体の対象となるが、1980年代以降のバブル期に竣工した大量の住宅が、これから解体予備軍として確実に増えることが見込まれる。国土交通省の推計と民間建設投資から算出した市場予測を加味すれば、解体工事の市場規模は、中長期的にも大幅に拡大していくことが予測される。
市場が広がる一方で近年、社会問題化している“空き家問題”で、取り壊しや建て替えが進まないのは、単純に解体費用が捻出できない経済的な理由も大きいが、それ以外に権利者が複数いるため、コンセンサスが取れないこともネックとなっている。関係者間の同意が得にくいのは、解体工事にいくらかかるかをイメージしにくいことが根底にあるのではないだろうか。
既存サービスである「くらそうね解体」を完全リニューアルした新サービス「くらそうね」では、こうした解体工事のお金にまつわる不透明な部分を、よりカンタンに見積もりを取れるようにすることで払拭(ふっしょく)する。SNSの“LINE”と連携し、スマホのLINE上で手軽に見積もり依頼が送れ、現場立ち会い前に、最短数十分から数日にかけ、最大10社から見積もりがLINEに順次届く。
現場調査は、施主にとって休日の時間を取られるため負担になってしまい、その時間を掛けずに、もっと多くの施工会社から見積もりを取って検討したいというニーズは多く寄せられていた。新サービス「くらそうね」は、立ち会い前に工事費用を知ることができ、メッセージが届くだけで、電話もメールも必要としない。これまで、ありそうで無かったサービスだが、他の業種では当たり前に行われていることだ。
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