不動産大手2社が語るスタートアップとの“共創”方法、三井不動産と東急住宅リース:不動産テックカンファレンス2019(2/3 ページ)
東急住宅リースと三井不動産は、不動産マッチアプリや業務支援系ソフトなどの不動産テックを開発するITベンダーとの業務連携や共同開発などの共創を推進している。今後さらに、その勢いを加速していく方針だ。
社内意思決定プロセスの迅速化は急務
スタートアップと不動産会社の考え方の違いについて須永氏が解説。「スタートアップと事業を始めるには、顧客価値のすり合わせが大切で、互いの目標に、ギャップがあると成立しない。頻繁にあるケースは、スタートアップからの営業マンの削減が行えるシステムの提案だ。だが、そのシステムを実装することで、ユーザーの注文への対応スピードが低下することが少なくない。そういった例でも分かる通り、スタートアップと不動産会社は話し合いをし、互いのシーズとニーズを調整していくことが必要だ」と述べた。
さらに、「スケジュール感覚に関しても、スタートアップと不動産会社では方針が異なる。不動産会社では、サービスの内容によって、関係者と検討を行うため、スタートアップが想像する速度では事業を進められない。社内意思決定プロセスの整合に要する時間も、スタートアップと不動産会社では違うが、この点に関しては、当社も含め、解決しなくてはいけない。意思決定までの流れを迅速に推進できる体制の構築が急務だ」と警鐘を鳴らした。
この他、年単位のプロジェクト管理を週単位に切り替えることや年功序列体制からの脱却、IT知識の習得が今後、不動産会社に求められると説いた。
一方、東急住宅リースの佐瀬氏も同社の紹介の後、スタートアップとの共創に向けた取り組みについて言及した。
東急住宅リースは、東急リバブルや東急コミュニティー、東急リロケーションといった3社の賃貸住宅管理事業を統合し、2015年から営業をスタート。
佐瀬氏は、不動産テックをマッチングプラットフォーム系、データ活用系、業務支援系の3種類に区分した上で、同社が業務支援系のスタートアップとの共創に注力していることを打ち明けた。
また、スタートアップとの共創の形式について、「業務提携、共同開発、出資の3パターンがある。現在、スタートアップとの共創の内訳は、業務提携が30社、共同開発が10社、出資が4社」(佐瀬氏)。
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