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3Dトンネル点検システム各地整へ導入、交通規制不要メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019(1/2 ページ)

道路、トンネル、橋などの社会インフラは老朽化が加速しており、対応が急務とされている。京都大学名誉教授の大西有三氏は問題解決の有効策となる点検・管理システムの認知拡大を進めている。

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 京都大学 名誉教授の大西有三氏は2019年7月26日、「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019」(会期:2019年7月24〜26日、東京ビッグサイト)で、セミナーを開催した。「新しい社会インフラモニタリング技術とその適用可能性について」と題し、現在のインフラ管理の課題や走行型計測車両「MIMM(ミーム)」、ドローン測量と航空写真を用いた測量の異なる利点について説明した。

3Dトンネル点検システム、各地整に導入


京都大学 名誉教授の大西有三氏

 道路、トンネル、橋といった社会インフラは2012年以降から老朽化が加速しており、防災、減災、被災、長寿命化といったさまざまな措置や対策が望まれている。2014年7月1日に定期点検に関する省令・告示が施行され、年に1度の近接目視による点検が義務化されたが、構造物内部の欠陥が不明なため、非破壊検査などの調査や試験法の確立が必要だという。

 インフラ点検の今後について、大西氏は、「建設技術者や人口減少に伴い、各インフラの検査は、インフラ調査士の人員を増やし、点検の品質を確保していかなくてはいけない。AIの導入で、評価のばらつきを減らすことも重要だ。画像解析技術やICT、IoT、GPS、VR、ARといったテクノロジーを活用し、膨大な社会インフラの情報を処理し、有効なモニタリングデータを作成していくことが大事になる」と語った。


走行型高速3Dトンネル点検システムであるMIMMの概要

 走行型高速3Dトンネル点検システムであるMIMMについても触れた。これまでのトンネル定期点検のワークフローは、まず、高所作業車に乗車した点検者が、確認用照明で変状箇所を照らし近接目視で特定。打音検査で変状部をマーキングし、応急措置として、うき・はく離をハンマーでたたき落としていた。トンネル全面でこの作業をするため、安全性を考慮し、交通規制や通行止めが必須だったことに加えて、人力での業務は時間がかかり過ぎていた。

 これまでの問題点をクリアにしたのがMIMMだ。MIMMは、計測検査が開発したシステムで、車両に取り付けられた3台のGPSやIMU(慣性計測装置)、カメラ、高密度レーザースキャナーを一体化したユニットで、走行しながらトンネルの変状箇所の抽出を可能にした。

 測定は時速40〜80キロの速度で行え、道路利用者への影響が大きい通行止めや交通規制をせずに、安全にトンネル点検ができる。

 設置された覆工壁面撮影システム(MMS)で取得したカラー画像からは、ひび割れ、漏水、表層劣化といった変形箇所を確かめられ、搭載しているモービル・マッピング・システムで得られた3Dモデルは、断面形状や変形モード、段差、うきなどを明らかにする。


MIMMによる計測事例

 また、判定内容が3Dモデルのため、客観的な変状展開図として記録でき、2回目以降の点検結果と比較することで、損傷部の進行性の判断や原因の推定などを踏まえたトンネルの健全度診断、詳細調査、対策要否の検討を後押しする。

 「MIMMは、国土交通省近畿地方整備局が2013年に実施した新技術活用評価会議で選定されたもの。1台5000万円するが、国土交通省は40台購入し、各地方整備局に導入している。近畿地整が管轄する大半のトンネルはMIMMで3Dモデルの取得は行われており、今後も一定の周期で、この作業を継続し、点検結果を比べる方針だ」(大西氏)。

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