特廃セメントの固型化処理施設が本格稼働、2023年9月までに8.3万トンを処理:産業動向(2/2 ページ)
鴻池組を幹事会社とする4社のJVは、2019年3月20日から特定廃棄物セメント固型化処理施設(福島県楢葉町)の本格稼働を開始した。
前処理で処理物の性状が均質化
固型化処理は、前処理として対象物を2軸破砕機で破砕し、振動ふるい、磁選機、アルミ選別機を用いて粒度調整、異物除去を行う。これは対象物の多くが搬入時に固結をしている上、セメント固型化処理の障害となる金属類を含んでいるため。前処理により処理物の性状が均質化するため、生成する固型化物の品質が向上する効果もある。
その後、対象物とセメント、水を練り混ぜ、型枠内に設置した収納容器に充填する。養生ラックで一定期間静置(養生)して固型化物を生成する。完成した固型化物は、脱枠し、保管棟に一時保管、特定廃棄物埋立処分施設へ搬出する。
セメント固型化処理施設の場内は安全対策を徹底させる。電離放射線障害防止規則、ダイオキシン類ばく露防止対策要綱に基づく「管理区域」「非汚染管理区域」を設定し、各区域内に対応した保護具の着用が義務付けている。「管理区域」は入退管理システムにより作業員の作業時間や被ばく線量を管理し、退出時にはスクリーニング検査によって体表面や物品の汚染を確認する。
施設内部では放射性セシウムやダイオキシン類を含む粉じんの飛散が想定される。大型集じん機を設置して作業環境改善を図り、施設内部を負圧化して粉じんの周辺への漏洩(ろうえい)を防止している。さらに、搬入搬出口は2重扉を採用し、同時に開かないように設定。粉じんの漏洩を防ぐ。
施設設置に当たっては、建物基礎部への遮水シートを敷設し、粉じん・液体等の浸透を防止する床材を塗布し、地下浸透防止対策を実施した。給排水設備を地上配管することで、漏洩などの監視も行っている。また、地下調整池による洪水対策など、周辺環境保全対策も備えた。
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