ALSOKが構想する都市空間全体のセキュリティ「現代版火の見やぐら」、五輪に向けた警備ロボの活用も:ファシリティマネジメント フォーラム2019(3/3 ページ)
ここ最近、ビルマネジメント業界で人手不足が深刻化するなか、それを補う清掃や警備といったサービスロボットが大規模商業施設やオフィスビルなどに導入され始めてきている。警備業界大手のALSOKでは、ロボットやIoT機器をいち早く採り入れ、従来の施設警備だけでなく、ビルの綜合管理を一体的に行う取り組みを進めている。
AIやサイバーセキュリティ監視など
ロボット以外では、ドローンを活用したサービスにも注力している。太陽石油四国事業所に設置されているフレアスタック(余剰ガスを無害化するために燃焼させる施設)の点検や地震発生時に被災現場の状況確認などに活用している。
検討を始めている最先端の技術としては、X線の検査結果から刃物や危険物をAIで自動検知する技術、物理空間とサイバーの両方を監視するサイバーセキュリティシステムがある。これは、サイバー空間の監視に、警備会社ならではのフィジカル空間の監視を掛け合わせ、両空間を意識した「融合セキュリティ」による真の多層防御を構築することで、予兆分析、早期発見、被害の極小化につなげる。
また、街中で道に迷ったり、体調が悪くなっていたりする人をディープラーニングで見つけ出し、警備員のスマートフォンに通知。現場に駆け付けた警備員が状況に応じて適切な対応を行う、新たなおもてなしサービスの開発も進められている。
都市空間全体のセキュリティでは、現代版「火の見やぐら」を提案する。スカイツリーに広域監視カメラ(鳥の目)を設置し、広範囲から俯瞰的に事故や災害の迅速な発見と位置を特定。各施設には、4Kカメラ(虫の目)を配置して、撮影画像からAIによって不審者、特定人物、危険物を検知する。さらに、警備員や警備ロボット、ドローンのカメラ(魚の目)で、現場の映像情報を取得して、クラウドなどでリアルタイムに共有する。鳥>虫>魚の俯瞰から地上までの異なるレベルの視点で、都市全体を包括的に警備するシステムが構想されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 本社ビルの実証・実演で判明した三菱地所がビル管理業務に“ロボット”を導入した理由
三菱地所は2019年1月22日、本社が入る東京・大手町の「大手町パークビル」で、清掃ロボットや警備ロボットなどの実演デモや実証実験を行った。 - 三菱地所が立命館大キャンパスで日本初の運搬ロボ「Marble」など導入し、2020年に社会実装目指す
三菱地所と立命館大学は、戦略的DX(デジタルトランスフォーメーション)のパートナーシップ協定を締結した。三菱地所のオフィスビルや商業施設で実証実験を進めている清掃/警備/運搬のロボットを次の段階として、広大な敷地を有する立命館大学の「大阪いばらきキャンパス」などに導入。経済産業省ロボット政策室との協議も含め、産官学でロボットの社会実装を目指す。 - 商業施設をロボットで清掃、三井不動産が実践導入
三井不動産は2018年3月からショッピングセンターに清掃ロボットの導入を開始した。施設管理業務の省人化や効率化に生かすという。 - JR東日本が鉄道施設のメンテナンスで、ドローンやロボットの実証実験を開始
JR東日本は、鉄道施設のメンテナンスにロボットやドローンを導入して、業務効率化などの検証を始める。母体となるのは、120社を超える企業・団体が参画している「モビリティ変革コンソーシアム」。コンソーシアム内に設置された3つのワーキンググループで、ロボットの活用やスマートシティーの実現、駅からのラストワンマイルを利便化するDoor to Doorの推進にそれぞれ取り組む。