国産スギ“CLTパネル”を用いた、スパン9.5×高さ9×奥行き42mの国内最大級建築空間を構築:CLT
大成建設は、神奈川県横浜市の技術センターに、CLT構造を用いた国内最大級の建築空間「T-WOOD Space」を構築した。
大成建設は、神奈川県横浜市にある同社の技術センターに、CLT構造を用いた国内最大級の建築空間「T-WOOD Space」を構築した。
“プッシュアップ施工”で省力化や省人化を実現
同社は新規に開発した接合部を備えたCLTパネルを組み合わせ、現地での部材間の接合作業などの省人化・省力化と、短時間で組立可能な施工法を確立し、木造架構をそのまま意匠に生かした大空間建物を実現させた。
ここ数年は、国が低炭素社会の実現や循環型の建築材料である木材利用の活性化を目的に、公共建築物などに木材利用を促進する法律を施行し、国産材の利用拡大を後押ししている。
こうした動向を受けて、大成建設では、国産スギのCLTパネルを利用して、スパン9.5×高さ9×奥行42メートルの国内最大級となる建築空間「T-WOOD Space」を同社の建築センターに構築した。
CLT構造の建築空間は、1枚あたり長さ約9×幅2.45×厚さ0.21メートルのCLTパネル3枚を1ユニットとして門型を形成。ユニットを連結した木造架構は、柱や梁(はり)が無く、軽快かつダイナミックな建築空間を構築し、さまざまな用途の施設に適用することが可能だ。
CLT部材は、単純な部材構成と、新規に開発した接合部を備えた木造架構を採用。これにより、現地への搬入直後から、CLTパネルを地上に置いて、柱脚同士をジャッキ引き込みで押し上げる“プッシュアップ施工”によって組み立て、部材間の接合作業などの省人化や省力化がもたらされた。なお、1/2スケールのモックアップを使用したプッシュアップ施工の実験では、短工期での施工を検証したという。
また、CLTパネルをそのままの状態で仕上げとして採用することで、木の表情やぬくもりをそのまま生かした意匠性の高いデザインとすることができるのも、CLTならではの工法の特徴の一つだ。
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