専用ろう材を正確に施工できる専用アプリなど、“ろう付”時間が3分の1に短縮するアルミ冷媒配管の新接続工法:新工法(2/2 ページ)
高砂熱学工業は、新しいアルミ冷媒配管の接続工法を開発した。これまで建設現場では難しいとされていたアルミ管のろう付を、専用ろう材の選定と施工要領の確立、さらに工法の手順をアプリ化した“ガイダンスシステム”の3つによって実現した。
「第36回優良省エネルギー設備顕彰」で会長特別賞を受賞
施工要領については、これまでアルミろう付は、工場などで加熱量や加熱時間を制御できる生産ラインなどで行われている一方で、施工現場において作業員がアルミのろう付をすることは、ハードルが高いとされていた。
そのため、最適なろう材を選定し、ろう付作業の道具を規定した。加熱方法や加熱時間も定め、一連の作業を標準化した独自の施工要領を確立した。
ガイダンスシステム「ろう付作業支援ガイド」は、銅管と違い、加熱しても表面の色の変化がなく、管の温度変化が視覚的に把握しづらいため、スマートフォン用アプリ「ろう付作業支援ガイド」で、専用ろう材を施工要領に沿って正しく施工できるようにサポートする。アプリの機能では、1.上方・下方予熱、2.ろう材投入、3.ろう付完了の時間を音声、色、バイブレーションで知らせ、ミスが起きないように補助してくれる。
この3つを組み合わせた新工法のメリットとしては、銅管のろう付作業時に必要な「窒素置換」が不要なこと、アルミ管の融点が銅管より低いことなどから、ろう付の作業時間が3分の1に短縮されるなど、冷媒配管工事作業の省力化がもたらされる。
実建物への適用では、2018年12月に高砂熱学工業の大阪支店と協働で、大阪府大阪市のかんき本社屋改修工事の空調設備に全面導入した。配管の接続には、「アルミ冷媒配管用ろう付工法」を採用したという。
高砂熱学工業では今後、冷媒配管により、1台の室外機と複数の室内機(異容量・異電源)をつなぎ、個別運転できるビル用の空調システムを対象に、既に開発済みのアルミ冷媒配管、アルミ冷媒配管用機械式継ぎ手、アルミ冷媒配管用分岐管ユニットの部材群に加え、今回開発した「アルミ冷媒配管用ろう付工法」を用いて管を接続し、アルミ冷媒配管システムの一層の実用化を図り、施工現場での省力化とCO2排出量の削減を推進するとしている。
なお、アルミ冷媒配管システムの開発は、日本冷凍空調設備工業連合会が主催する「第36回優良省エネルギー設備顕彰」で会長特別賞を受賞。今後の社会的変化によって、従来通り銅管を使用することが困難になることを予測し、材質や工法を変更するために、関連技術の開発や広報をしていることなどが評価された。
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