消防点検に特化した“無料”のWebサービス「スマテン」、仲介者無しでビル管理者と点検資格者を直接結ぶ
スマテンは2019年4月8日、消防設備の点検業務に特化したWebサービス「スマテン」を正式リリースした。スマテンは、消防設備の点検/改修工事の依頼から、日程管理、支払いまでをWeb上で完結させることで、これまで手間がかかっていた消防用設備の管理業務を効率化させることができる。
スマテンは、消防用設備の点検業務に特化し、依頼から支払いまでの一連の作業を簡略化するプラットフォーム「スマテン」を正式にリリースした。ビル管理者がWeb上で建物を登録した後、点検や改修を行いたい場合は、必要な時に見積もりが提示され、金額に納得すれば、あらかじめサービスに登録されている点検業者に発注される仕組み。これまでに230棟が既に登録され、ビル管理者と点検業者をつないでいるという。
点検依頼から支払いまでをWebプラットフォーム上で一元管理
スマテンは、建物管理者の消防点検の管理、見積もり依頼、発注、報告書の作成、決済に加え、消防点検業者の案件受注、報告書の作成までをワンストップで提供する無料のWebサービス。建物の管理者と消防点検業者を直接結んでサポートするとともに、双方にメリットのあるチャンスを創出する。このサービスを活用することで、今まで煩雑だった消防設備の点検業務がスムーズに行えるようになる。
建物管理者は、PCやタブレットなどの端末と、ネット環境さえあればいつでもどこでも、スマテンの管理画面にアクセスして利用することが可能。スマテンで複数の物件をまとめて管理し、点検依頼をすることで、管理業務が効率化される。
依頼を受ける消防点検の事業者は、スマートフォン向け専用アプリ“スマテン”から、現場にいながら、案件の受注や点検報告書を作成。データベースには、仕事への評価、履歴が蓄積されるため、新たな顧客獲得にも役立てられる。
管理者と業者の受発注には、仲介業者が入らないため、余分なマージンなどが生じず、点検コストを大幅に抑えることが可能だ。
使い方はまず、スマテンのWebページを開いて、新規会員登録をクリックしてアカウントを作成。管理建物の画面では、保有する建物を追加し、正確な見積もりを算出するために、図面や前回の点検票、前回の見積書をアップロード。
依頼を行うには「無料で見積もりを依頼する」をクリックすると、スマテンが見積もりを作成する。金額を承諾したら、「依頼する」のボタンで、点検業者に直接仕事を発注する。支払いは、クレジットカードか銀行振込で決済する。
サービス開発経緯について、スマテンの担当者は、「一般的に建物のオーナーが消防設備の点検をする際は、点検業者を探し、電話やメールで見積もりを問い合わせをし、報告書の整理、点検日の管理など、面倒な作業が生じていた。点検業者側も、現場で作業をした後は、オフィスに戻ってから報告書をまとめるなど、アナログな作業が多く、非効率な業務形態となっている。将来的に、ビルメンテナンス市場は拡大が見込まれるため、早期に業務を改善する必要を感じ、ワンストップで事務作業を完結することができるWebツールを開発した」と話す。
「スマテンのサービスでは、見積もりを業者が作成しないのが特徴の一つ。業者によって建物の大きさや設備の数など、見積もりの出し方がバラバラで、業者ごとに見積もりを出すと価格競争を招きかねない。当社で一括して設備ごとに見積もりを提示することで、業者の書類作成の手間が省かれ、メンテナンス価格の適正化につながる」。
今後は、「消防設備の点検後に提出する報告書は、郵送のみを受け付けたり、実印が必要だったり、消防署ごとに対応が異なる。消防庁と意見交換するなど、課題解決に取り組んでいきたい。その先には、不動産管理全体をIT化することを目指し、エレベーター点検や清掃業務にも拡大していきたい」と展望を語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 清掃だけじゃない、ヘッドを代えてビルの外壁診断や塗装も見込む「多目的壁面作業ロボ」
三菱地所は2019年3月4日、日本ビソーと共同で、多関節アームを装備した「多目的壁面作業ロボット」の実証実験を東京都千代田区の「新丸の内ビルディング」で行った。 - 三菱地所がソフトバンクのAI清掃ロボット「Whiz」を100台導入、ビルメン業務の“働き方改革”に
三菱地所は、ソフトバンクロボティクスが開発したBrainOS搭載のバキューム清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」を2019年4月より国内で初めて導入する。先立つこと1月17〜23日には実証実験を行い、省人化の効果や導入に向けた最適な利用箇所を検証する。AI清掃ロボットが実用化となれば、ビルメンテナンス業界が直面している人手不足の解決に期待がかかる。 - ビル管理を機械学習とIoTで効率化、川崎市で実証開始
東芝とデルテクノロジーズが「機械学習」の1つである「ディープラーニング(深層学習)」を活用したビルマネジメントシステムの構築に向け実証を開始する。このほど両社の提案したシステムが産業機器向けIoT団体のIICにテストベッド(実運用に向けた検証用プラットフォーム)に承認された。川崎市の「ラゾーナ川崎東芝ビル」で2017年9月まで実証を行う計画だ。 - ビルメンロボットの普及組織創立、初代会長企業にアクティオ
ロボットメーカーなど14社で構成された日本ビルメンロボット協議会が2018年7月5日、発足した。初代会長企業にはアクティオが就き、今後はビルメンテナンス分野でロボットの普及と導入の拡大を図っていく。