月2000円でできる「スマホでエレベーターの自動呼び出し」、三菱電機ビルテクノが新EVメンテサービスを開始(2/2 ページ)
全国24万台ものエレベーターを管理している業界トップの三菱電機ビルテクノサービスは、エレベーターメンテナンスの契約に、今後のトレンドとなる“セキュリティ”と“スマートデバイス”の機能を追加した新サービスを展開する。
自動で診断し、30分で運転を再開させる「ELE-Quick」
地震発生時には、エレベーターを自動診断して何もなければ、すばやく復旧させる「ELE-Quick(エレクイック)」の機能が働く。実際にはビルが体感する震度(Gal値/地震の揺れを示す加速度のCGS単位)の設定によって、エレベーターの動作は変わってくる。
設定の一例として、震度4以下では通常運転を継続し、震度5弱(80Gal)以下であれば一時停止後に通常走行。それより上の震度であれば、管制運転装置で休止させたエレベーターを自動診断する「ELE-Quick」が作動し、ロープやケーブルの干渉をはじめ、おもりや着床装置の異常、異常音の有無などを診断。問題が見つからなければ、30分ほどで運転が再開される。なお、震度5強(120Gal)以上が感知されれば、運転休止後、エンジニアによる復旧を待つことになる。
こうした地震対策の機能は、ここ数年頻発する災害発生を受けて強化されたものだという。2018年に起きた大阪府北部地震では、多数のエレベーターが緊急停止したが、技術者も電車に閉じ込められるなどして、復旧まで長時間を要した。また、将来的な技術者不足を考慮すると、非常時に停止したエレベーターを一気に点検していく人的リソースも限りがでてくる。こうした課題を解決する目的で、人手を使わずに再起動を自動でかけ、1秒でも早く再稼働できる新機能を搭載させた。
近年、エレベーターのニーズとして高い「セキュリティ」では、基本サービスでメモリカード録画の機能を提供。エレベーター内を自動撮影した1秒1コマの静止画をメモリカードに記録する。おおよそ3日分が保管され、ビルオーナーや管理者のPCで確認することができる。
マンションなどで、住人の安全をより確保したいといった要望には、専用レコーダーをエレベーターのかご上に設置し、タイムラプス映像(1コマ/0.5秒)で約100日分を録画する防犯カメラ録画サービスで応える。他にも、画像解析で人が倒れていたり、異常な動きをしていたりする状態を自動検出して、警告アナウンスや各階停止などを行う、モーションサーチの追加メニューもある。
セキュリティ以外では、オーナーの利便性を向上させるWebサービスがある。エレベーター内ファンのON/OFFや、豪雨時に冠水が心配される場合に、箱を上層階に逃がす「退避運転」などを現場に行かなくても、スマートフォンやタブレットから遠隔で操作できる。点検などの作業報告書もWeb上にデジタルデータとしてアップロードされるため、これまでの様に管理会社が紙ベースで書類をまとめる手間が無くなる。
新機能では、エンドユーザー向けの「スマートフォンサービス」がある。マンション住人などの手持ちのスマートフォンと連動させ、エレベーターが自動で検知して呼び出し、あらかじめ設定している行き先階に、ハンズフリーで移動できるというものだ。
他にも、他人に自分の行き先階を知られたくない場合など、エレベーターフロアの現在階の表示を隠す機能、ドアの開閉時間が通常よりも長い車イス用の呼び出しなども行える。スマートフォンサービスのオプション料金は月額2000円で、初期のデバイス設置料や保守(メンテナンス)料金なども含まれている。
三菱ビルテクノサービスでは、「エレベーターの寿命は一般的に約20〜25年。バブル期に設置されたものはそろそろ老朽化してきており、これから更新の時期を迎える。古い機種は交換用パーツの在庫も無いため、新設の重要が見込める。工事期間はエレベーターが全く使えなかった以前とは違い、今では制御基板も、新旧両方の巻上機や操作盤をまとめて制御できるハイブリッド制御盤もあるので、リニューアル工事期間中でも作業をしていない時間帯は、エレベーターを利用することができるようになっている。今後もエレベーターのリニューアル需要は増加していくので、注目されている“セキュリティ”と“スマートデバイス”の付加価値を加えた、他に無いメンテナンスサービスで受注を広げていきたい」と話す。
【訂正】「ELE-Quick」のエレベーターと震度の関係性は、感知器の設定によって変わるため、記事中の表記はあくまで一例となります。また、初出時に一部機能名に誤りがありました。現在は修正しています。(2019年4月3日午後9時15分)
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