国内初“西武池袋線が貫く”外観がダイヤグラムの20階オフィスビル、「池袋に巨木を植える」をモチーフに設計(1/3 ページ)
西武グループが開発を進めてきた線路が低層階を通り抜ける大規模オフィスビル「ダイヤゲート池袋」は2019年3月25日、竣工式を執り行い、ビルの特徴となっている線路上空にあたるデッキの供用を開始した。プロジェクト費用は約380億円で、池袋エリア最大規模となる基準階貸室約2100m2のハイグレードオフィスを供給する。
西武グループ3社が本社機能を移転する東京・池袋の20階建て高層オフィスビル「ダイヤゲート池袋」が竣工した。日本初の線路を跨(また)ぐ超高層ビルで、低層部の一部を西武鉄道池袋線が貫く。ビルの所有は西武鉄道、開発は西武プロパティーズが推進してきた。
池袋エリア最大の基準階貸室2100m2、無柱空間と2.8mの天井高
開発に当たっては、池袋旧本社ビル敷地に加えて、西武鉄道池袋線の線路上空と、同社所有地の線路西側の用地を活用し、敷地面積を従来の1.7倍へと大幅拡大した。1/2階には商業店舗3店、4階から最上階の18階までの計15フロアをオフィスで構成する。
オフィス規模は延べ床面積5万m2(平方メートル)に上り、基準階貸室はブレースによる外殻構造で実現した池袋エリア最大の約2100m2(約640坪)。奥行き18m(メートル)の無柱空間と、2800mの天井高を備え、開放感がありながらハイグレードのオフィス空間を提供する。本社が移転してくるのは14〜18階で、西武ホールディングス、プリンスホテル、西武プロパティーズの3社が入居する。
建築プロジェクトでは、施工を大林・西武JV(建設工事共同企業体)が担当した。特徴的な構造計画、鉄道やガード脇での建物づくり、線路下で同時進行するトンネル工事、搬入動線が乏しいなど、さまざまな課題を施工計画や工法を入念に検討して工事を進めたという。
具体的には、資材搬入では、始めに1階の床を構築し、その後に地下工事に着手する「逆打ち工法」を採り入れた。1階床を先行して完成させることで、前面道路と一体となった動線や資材置き場を先に確保した。
また、線路上空の工事のため、1日にわずか2時間半しか作業できないという制約があり、毎日入念な計画・準備・作業を積み重ね、線路上空の2階の人工地盤を約半年かけて完成させた。
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