コンクリの鉛直面やアーチ面で、“湿潤養生”を可能にする「アクアカーテン」の適用実績が200万m2を突破
安藤ハザマら3社で構成する「アクアカーテン普及会」は、型枠を取り外したコンクリートの鉛直面やアーチ面に対して湿潤養生ができる給水養生工法「アクアカーテン」の累計適用実績が200万m2を超えたことを明らかにした。
安藤ハザマ、東宏、青山機工の3社から成るアクアカーテン普及会は、型枠を取り外したコンクリートの鉛直面やアーチ面に、湿潤養生ができる給水養生工法「アクアカーテン」の累計適用実績が200万m2(平方メートル)を超え、一般的な道路トンネルに換算すると延長約100km(キロ)分に到達したことを公表した。
適用工事のうち、95%がトンネル工事の覆工コンクリート
アクアカーテンは2010年8月の現場適用開始以来、その優れた効果と施工性、経済性が高く評価され、ゼネコン各社で採用が進み、適用実績は153現場にも上る。適用面積は、2013年に10万m2、2017年には100万m2、およそ2年を経て2019年1月には200万m2に達した。
適用現場数の内訳は、約7割がトンネル工事の覆工コンクリートで、残りの約3割が明かり工事。適用面積の内訳では、95%がトンネル工事の覆工コンクリートに適用されており、とくにトンネル分野への採用が拡大している。
鉄筋コンクリート構造物にとって、表層部のかぶりコンクリートを密実化し、劣化因子の侵入を抑制することは、極めて大切な施工上のポイント。高品質な構造物を構築するためには、コンクリートの硬化初期に“湿潤養生”を行うことが重要とされる。
アクアカーテンの工法は、型枠を取り外したコンクリート面を覆う給水養生シート、給水養生シートとコンクリートの隙間を負圧にしてシートがコンクリート全面に貼りつくようにする吸引装置、微細な穴を有し100m(メートル)先まで均等に散水する給水ホースの3つで構成。タンク内に設置した水中ポンプをタイマーで間欠的に稼働させ、シート上部に水平に配置した給水ホースから養生水を供給することで、水中養生と同等の湿潤養生環境が実現する。
型枠を取り外した面の給水養生工法としてのアクアカーテンによる工法は、トンネルの覆工コンクリートの養生工法として認知度が年々向上しているという。普及会では、コンクリート構造物の長寿命化、安全・安心な社会インフラ整備の推進に貢献していくとしている。
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