CLTを“床材”に採用した国内初の高層マンションが竣工、床と壁に220m3を導入し工期を3カ月短縮:CLT(2/2 ページ)
三菱地所が、宮城県仙台市泉区で建設を進めてきたCLTを床材として採用した国内初の高層マンション「PARK WOOD 高森」が竣工した。完成後は、木材特有の乾燥収縮やクリープによる変形量をモニタリングし、CLTの普及に役立てていくという。
住戸の内装も“木質化”、木のぬくもりを感じられる空間に
2〜10階の柱に適用されている時間耐火仕様の「燃エンウッド」は、国土交通大臣認定を新たに取得。木材による「荷重支持部」、石こう系SL材と木(集成材)で構成された「燃え止り層」、木材の「燃え代層」の3層から成り、耐火構造の木造部材(集成材)として柱や梁(はり)といった構造部材に用いられる。
PARK WOOD 高森は、総戸数39戸で5種類のプラン。全戸のうち7戸は木造柱の他、リビング・洋室の天井や壁などの内装を木質化し、木を見て感じられるプレミアム住戸。エントランスの壁面も木質化しており、木のぬくもりあふれるデザインとなっている。
PARK WOOD 高森の概要は、所在地が宮城県仙台市泉区高森2丁目1-11。敷地面積は3550.15m2(平方メートル)、延べ床面積は3605.11m2。構造は、木造(CLT床・耐震壁、燃エンウッド)+鉄骨造、地上10階建て。総戸数は39戸で、間取りは2LDK・3LDK。賃料は9万3000〜14万1000円。
建築主は三菱地所、設計・監理・施工は竹中工務店。CLTの利用箇所は、床全体の30%を占める約1000m2、壁の一部で約110m2。
三菱地所は、専門部署「CLT ユニット」を中心に、CLTの事業化に向けた研究開発に取り組んでいる。今回のプロジェクトから得る設計および施工時の実証結果をはじめ、竣工後は木材特有の乾燥収縮やクリープによる変形量をモニタリングして、各種計測結果などの情報を広く公開することで、CLTを利用した建築物の普及を促進していく先導的な役割を果たしていくとしている。
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