スマホを用いて協力会社も利用する現場の“打ち合せシステム”、鴻池組:現場管理
鴻池組は、日々建設現場で行われる作業間の連絡調整打ち合せと、作業日報の作成を省力化するツールとして、スマートフォンを用いた作業打ち合せシステム「KOCo(ココ)Meeting(KONOIKE Construction Meeting System)」を開発した。
鴻池組は、スマートフォンを用いた作業打ち合せシステム「KOCo(ココ)Meeting(KONOIKE Construction Meeting System)」を開発し、現場での運用を開始した。
協力会社の職長がスマホで入力した作業日報を現場で確認
KOCo Meetingにより、各専門工事を行う協力会社は、作業予定や人員配置など入力や確認を、いつ、どこででも行うことが可能になる。鴻池組など施工管理を担当する会社にとっては、ペーパーレス化によって、書類の取りまとめや管理を省力化することができ、双方で労働時間の削減を図ることが実現する。
開発の背景には、建設現場では日々行われる作業の内容や人員配置、安全注意事項などを記録する書類として「作業日報」を作成している。作業日報は、労働安全衛生法で求められる「混在して作業することによって発生する労働災害を防止するために関係者間の連絡調整」に関する記録であり、施工管理を行う上では重要な書類とされる。
鴻池組ではこれまで、手書きによる記入や管理を行っていたが、職種や記載内容が多岐にわたり、作成に多くの時間を費やすため、長時間労働の要因の一つとなっており、現場からは数多くの改善要望が寄せられていた。この問題を解決するため、「簡単」「いつでも、どこでも」をコンセプトとして、ICT活用による業務の効率化を目指したという。
KOCoMeetingは、協力会社側のデータ入力は、職長などのスマートフォンを使用すること(BYOD)を基本として、各現場の作業員名簿の作成と職長情報を登録する。担当工種や当日の実施出面、翌日の作業予定、搬出入予定などの入力した作業内容に応じ、安全注意事項やリスク評価などは、入力候補がドロップダウンで表示されるため、簡単に選択して入力することができる。また、繰り返し入力や社内システムから工事基本データなどを自動取得する機能などを実装し、入力作業の省力化を図っている。
入力された情報は、各現場の運用形態に応じたタイミングで、いつでも帳票データとして出力できる。現場では、職長入力事項の確認や作業の打ち合せ時に関係者間の意思統一をスムーズに図れることにつなげられる。
月例業務では、出面集計や施工月報の出力もできる他、運用管理などのデータ2次利用などにも活用が見込まれる。
KOCoMeetingは2018年10月より本運用を開始しており、順次改良を重ねていくとしている。
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