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耐火外壁のパネル化と簡易施工の接合金物で“新CLT工法”、都市部の共住を模した大東建託の実験棟で検証:CLT(2/2 ページ)
大東建託は、パネル化が可能な「CLT耐火外壁」と、施工手間を省力化した「接合金物」を開発した。これらの新建材を用いたCLT工法を建設中の実験棟に適用。施工時の効果や完成後の居住性などを確認し、2019年度内の商品化を目指す。
耐火外壁はパネル化で「突付張り」、金物は「ドリフトピン仕様」
実験棟の施工に関しては、狭小敷地を想定した間口の狭い敷地での施工計画を立案。外壁パネルの製作から現場搬入、建て方、内装・外装の仕上げまでを検討する。キッチンやユニットバスなどの住宅設備も設置し、完成後には居住性(断熱性・遮音性など)も分析して改善点を見つけ出す。
導入するCLT耐火外壁は、CLT外側に耐火被覆材を張り重ね、パネルの端同士をピッタリとくっつけるような「突付張り」。現在の木造耐火建築物の告示仕様では、外壁外側の耐火仕様は、石こうボードの継ぎ目とCLTパネルの継ぎ目を半分ずらす「千鳥張り」で、搬入・組み立てが難しく、現場でボードを施工している。その点、突付張りであれば、現場での耐火被覆材の施工が省略化され、今後の建設業における人手不足を考慮して、現場作業をできるだけ減らすことにつながる。
また、オリジナル金物は、ピンを差し込むだけの「ドリフトピン仕様」のため、一般的なビス留めと比較して、現場での作業時間の大幅な短縮が可能。CLT壁内部に納める事ができ、壁面に突き出ないため、内部・外部のボード張りが容易に施工できる利点がある。
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