竹中技術実務研修センター「想」に躯体の“ハイブリッド工法”“PC工法”の実物大モックアップを新設
竹中工務店は、兵庫県川西市の体験型研修施設「想」を増築し、躯体のハイブリッド工法/PC工法の実物大モックアップを新設し、新たな研修プログラムをスタートさせた。
竹中工務店は、「見て・触れて・体得する」をコンセプトとしたものづくりの基本を学び技術を伝承する兵庫県川西市の竹中技術実務研修センター「想」を増築した。増築工事に合わせて、躯体のハイブリッド工法・PC工法の実物大モックアップを新たに設置し、それを利用する体験研修を研修カリキュラムに追加して、2018年10月からスタートさせた。
躯体のハイブリッド工法/PC工法の品質管理手法を体得
増築の目的には、近年の建設労働人口の減退を補う、生産性向上の対策の一つとして、現地で手間を減らせる躯体の“ハイブリッド工法”や“PC工法”が推進され、成果を上げていることがある。従来の場所打ち鉄筋コンクリート、PC、鉄骨造だけではなく、それらを組み合わせた「躯体のハイブリッド工法/PC工法の品質管理手法を体得する」ことを目指し、実物大のモックアップを設置する施設を2018年に増築するに至った。
モックアップは、PC部材や鉄骨部材の接合部の納まり、品質管理や安全管理の技術向上、新しい工法への対応力育成のため、最新の基礎工法や床工法も組み込んで作製。PC梁(はり)・柱の据付、鉄筋継手とPC目地のグラウトの体感研修が可能な展示モデルも加え、2018年10月から、増築施設を活用した新カリキュラムで研修を開始している。
2011年1月の施設オープンから、2018年12月末までの8年間で、品質つくり込み研修を232回実施し、延べ3629人が受講。品質つくり込み研修は、職能や入社年数などにより、建築(初級・中級・上級)、設備(初級・中級・上級)、建築設計、構造設計、工事監理・品質管理、改修工事、安全(墜落災害防止)、協力会社(鉄筋工事)の12種類を展開している。それ以外に、新入社員、営業、施工事務など、またグループ会社の研修にも活用しているという。
さらに2012年からは、社会貢献活動の一環として、小・中・高校教員の民間企業体験、工業高校の教員・生徒と建築を専攻する大学生を対象に教育プログラムを開始。2018年12月末までの7年間で、延べ797人が受講した。
増築された竹中技術実務研修センター 想の所在地は、兵庫県川西市柳谷隠場41-1。敷地面積7万9889m2(平方メートル)に、S造・地上2階建てで建築面積1675m2、各面の延べ床面積1450m2。
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