アジア航測ら「ウェアラブルIoT」を橋梁工事で試行、作業員の健康状態や作業効率を“可視化”:ウェアラブルIoT(2/2 ページ)
アジア航測ら5者から成るコンソーシアムは、作業員の生体データと位置情報を取得して、建設現場の安全管理と生産性向上に役立つウェラブルIoT技術を橋梁(きょうりょう)工事で試験運用し、有用性を確認した。この技術では、作業員の心拍数や位置情報、姿勢、加速の回数、つまずき回数を高精度に取得することで、健康状態、現場の配置状況、作業効率などを可視化する。
精神状態や作業負担の度合いもデータで把握
安全管理システムでは、移動距離や急激な動きもデータ化し、転倒回数、つまずき回数、衝撃検知回数が管理用PC上に表示される。これにより、転倒事故が発生した際や危険な状況に陥っている作業員を瞬時に把握することが可能だ。
また、心拍数は、健康状態だけでなく、例えば高所作業時に心拍数の変化を知ることで、平静な状態で作業を行えているかどうかなど、作業員の精神状態を確認することにも役立てられる。
さらに、あらかじめ入力してある身長、体重の情報と心拍数を掛け合わせて、消費カロリーを計算すれば、作業負担がどの程度かかっているかなどの判断にも利用できる。
ウェアラブルデバイスによって得たデータは、全てクラウドにアップロードされ、遠隔地の本社や管理事務所など、その場に居なくても、現場状況を一目で確認することが可能だ。
アジア航測の担当者によれば、今回開発したウェアラブルデバイスは、スポーツ選手がパフォーマンスを定量的に評価する技術を建設業に転用したものだという。これまで見ることのできなかった作業員の生体情報をはじめ、安全状況、作業負担の度合いなどが“可視化”されることで、建設現場の安全性と生産性の向上に寄与する。
今後については、「現場の動画などから、AIによって、どの作業が非効率化に悪影響をもたらし、危険が潜んでいるかなどを自動で判断できるような、さらなる安全管理の開発に取り組んでいく」とコメントしている。
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