サーベイボックスと前田建設、仮想労働市場とIoT技術の実証実験に成功
サーベイボックスは、前田建設工業と共同で、仮想労働市場とIoT技術の融合によるアプリケーションシステム「WappinExpo」に関する実証実験を成功させた。
サーベイボックスは、前田建設工業と共同で、仮想労働市場とIoTの融合によるアプリケーションシステム「WappinExpo」に関する実証実験を成功させた。
人の位置把握・分析を行うためのキーデバイス
WappinExpoは、サーベイボックスが提唱する仮想労働市場の概念を応用し、前田建設工業が重点施策として掲げる「全役職員が生産性向上を意識して業務を改革し、利益率向上と労働環境の改善」を実現化するために、建設現場やオフィスなどにおける人員の位置把握・分析を行うためのキーデバイスとして開発されたアプリケーションシステム。
GPSが使用できない屋内環境でも、独自開発したビーコン端末「Black NoroshiII」の活用で、アプリ利用者の位置情報の特定と属性情報の伝達を可能にした。建築中の高層ビルなどで、フロア毎の作業従事者の位置情報を動的に検出することにより、リアルタイムでの労務管理などへの応用も期待されている。
実証実験では、前田建設工業のICI総合センターの開所式式典を2019年2月15日に開催するにあたり、式典会場を利用してシステムの実証実験を行った。具体的には、式典当日にセンターの敷地全域1万2135m2(平方メートル)に、12カ所のビーコン端末を設置したWappinスポットを敷設。スポット周辺の参加者の位置情報および属性情報を全参加者が共有することで、式典参加者約300人が名刺交換や自己紹介の手間を省いた交流を可能にしたという。
参加者からは、「イベントで、自分の一番会いたい人に最短距離で会えるのはとてもうれしい」「このアプリで他の参加者の顔と名前、プロフィルを瞬時に認識でき、興味を持った」などのコメントがあったという。
サーベイボックスでは今回の実証実験で、300人の参加者が同時に仮想労働市場にアクセスし、位置情報と属性情報の交換を行ったものの稼働について何ら不具合は生じず、「WappinExpo」のテーマの一つである「科学的かつ効率的な出会いの創出」が実証できたとしている。
本実験で収集した仮想労働市場の実証データをベースにして、2020年のオリンピック期間中に多数の訪日外国人が利用することが予測されるサーベイボックスの訪日外国人向けガイドマッチングアプリ「WappinGuide」でのマッチングアルゴリズムの改善に取り組む。両社は、今回の実証実験の成果を踏まえ、建設分野への応用も含め、さまざまな社会課題解決への取り組みを推進していくとしている。
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