国交省公認ビジネス向け「ドローンパイロット養成スクール」を開設へ、タジマ建設
タジマ建設は「ドローンパイロット養成スクールを千葉市に開設することを明らかにした。ここではフライトの基本技術から、老朽化が進むインフラの非破壊検査や災害時における測量の方法まで広範に習得できる。無人航空機の飛行に関する許可・承認といった申請方法のアドバイスをはじめ、スクール卒業後のアフターフォローも充実させるとしている。
タジマ建設は2019年6月1日、「ドローンパイロット養成スクール」を千葉市に開設する。これに先立ち、期間限定の3月29日まで、クラウドファンディングサイト・Makuake(マクアケ)で先行予約の受付をスタートした。
フライト、測量、非破壊検査の3つのコースを用意
この養成スクールは、国土交通省公認の有資格者を教官に、工学的視点から構築した実践レベルでの講習内容で構成する。現場を知る者の視点で作成されたカリキュラムにより、実運用に即した高品質のプログラムを提供するとしている。
具体的には3つのコースを用意する。「フライト基本技術コース」は、国土交通省への飛行許可申請が可能となる10時間フライトを達成するもので、ビジネスとしてのドローン活用の基礎を座学と実技を通じて身に付ける。「測量基本技術コース」では、測量の基礎知識とドローンによる空中写真測量の方法を習得し、空撮と解析方法の基本を学ぶ。「非破壊検査基本技術コース」では、ドローンで構造物点検を実施するために必要な初歩の技術と、その技術向上を目指す。
養成スクール卒業後のアフターフォロー体制も充実させる。無人航空機の飛行に関する許可・承認に関連する申請方法のアドバイスをはじめ、機体購入時の初期設定や機体の不具合やエラーメッセージなどへの応対、機体の保険に係る助言、卒業後における実技会場の提供まで行う。
カリキュラムは、厚生労働省が実施する人材開発支援助成金の要件も満たしている。同助成金は、雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための訓練経費、訓練期間中の賃金の一部などを助成するものである。
同社では、東京オリンピックや大阪万博など建設業界が開発・建設ラッシュに向かう中、高機能化が進むドローンの現場における活用拡大を図り、人災・労災やコストの低減に寄与することを目指し、養成スクールの開設を決定。国土交通省の飛行許可をはじめ、各方面と連携による飛行技術や機体の提供などを通じ、現場で活躍できるプロのドローンパイロットを養成するとしている。
現在、ドローンは飛行時間や距離・速度、積載量といったスペックの進歩により、一層難易度の高い作業も可能としている。これに伴い、プロとしてのドローンパイロットの需要も増す。国土交通省が進めるi-Constructionの実施状況報告によると、ICT土工では「合計時間23.4%削減」という結果が示されている。労働者の確保が難しい中、ドローンの導入による安全面での期待に加え、時間的な効率化が図れていることも実証済みだ。
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