JFMAの未来戦略、企業の持続的成長を支えるファシリティマネジメントには何が必要か?:ファシリティマネジメント フォーラム2019(2/2 ページ)
第13回日本ファシリティマネジメント大会「ファシリティマネジメント フォーラム2019」が2019年2月20日、開幕した。初日に行われたJFMA委員会によるこれからのFM戦略について提言を行った講演を紹介する。
ICT、次世代空間、AIとの連携で新規ビジネスモデルや産業自体を創出
さらに、これからのFMとして、「FMテックの活用」を提案。「経営活動の一環であるFMは、他分野同様に最新のITやAI、ビッグデータなど、さまざまな“テック”の活用可能性があり、FMでは、1.ICTによる業務支援、2.次世代空間、3.ビッグデータ・AIの3分野が期待される」とした。
ICTでは、クラウドを使ったFMシステムやBIMモデルとの連携が想定され、設計・施工段階でのBIM活用に加え、運用段階での発展的な利用も見据える。
参考として、早稲田大学 創造理工学部・小松幸夫研究室/商崎雅人氏のプロジェクトを示した。工事履歴や修繕計画、空間の利用情報、コスト情報など、形状を持たない“柔らかいデータ”をBIM上に載せることで、FM情報の3次元での可視化を目指している。この統合BIMモデルは、将来の修繕計画やライフサイクルコスト(LCC)の適正化を全施設を統括して効率化することに役立つ。
また、別のICT活用として「不動産クラウド」のVTS・Hightowerの先進事例も紹介。投資用不動産に関する総合的なクラウドタイプのアセットマネジメントプラットフォームで、不動産管理、資産管理に関する業務(テナント管理・空室マネジメント)を総合的に管理する。
特徴的なのは、不動産オーナーだけでなく、エージェンシー/テナントのレップ(ブローカー)に加え、テナント(借り手)も利用できる。オーナーはリスク管理やリマインダー機能、スタッキングプラン、自動レポート作成に利用し、テナント向けレップは案件検索やシーリング費の比較、テナントは多店舗展開や新規出店の検討として、相互が物件情報を共有することで、空き室率の低減がもたらされるという。
AI活用では国内の事例として、商業施設の収益予測を説明。FM情報にGIS(地理情報)の外部情報を追加し、店舗の立地や周辺データから商業施設の売り上げを推定する他、AIとデジタル画像を組み合わせて、看板や店舗ファサードの視認性がどの様に売り上げに影響するかなどの検証にも使える。
板谷氏は最後にまとめとして、「FMテックは、現在のビジネスを飛躍的に効率化させるだけでなく、新たなビジネスモデルや産業を創生することも期待される。経営改革は個社だけではなく、企業間あるいは業界全体で進展していくことが理想。そのため、JFMAでは、FMテックの最新事例や基礎データを公開していくので、ぜひ各社で情報を共有して、FMの取り組みに役立ててもらいたい」と結んだ。
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