長谷工総合研究所が2018−2019分譲マンション動向をレポート、消費税率10%のマイナス影響は限定的:市場動向(2/2 ページ)
長谷工グループの長谷工総合研究所は、首都圏・近畿圏の分譲マンション市場動向をまとめた「2018年市場の総括と2019年の見通し」を公表した。2018年の首都圏のマンション新規供給量は2年連続で前年を上回り、近畿圏でも2万戸を超える供給量だった。
首都圏で3万7000戸、近畿圏で2万戸の見通し
近畿圏の新規供給戸数は2万戸を上回ったものの、12月末の分譲中戸数は2907戸で前年末の2539戸よりも368戸増、完成在庫も1086戸と前年末1025戸より、61戸増にとどまった。
分譲単価は659千円/m2で前年比4.6%増加。ワンルームの供給が増えたことで、平均面積が58.37m2と前年比4.1%縮小したことから、平均価格は3844万円と前年比0.2%アップした。
ワンルームを除いた分譲単価は、前年比3.7%増の640千円/m2、平均面積は前年より0.7%拡大して72.47m2。平均価格は前年比4.4%増の4653万円と、分譲価格、平均価格の上昇傾向が変わらない。
また、ワンルームを除いた価格帯別の供給戸数は、3000万円未満が1092戸(前年1626戸)、3000万円台が5598戸(前年5935戸)とそれぞれ前年を下回り、1次取得者層向け住宅の減少傾向は続いている。
2019年分譲マンション市場の見通し
分譲マンションの着工戸数や供給予定物件などをみると、2019年も首都圏で4万戸以上、近畿圏でも2万戸ほどの供給材料があるが、実際には、事業主の供給意向に左右されるため、2018年同様に、市況をみながら慎重に供給を行う傾向になると予測。
トピックとして、2019年10月には消費税率の引き上げが予定されているが、分譲マンション市場では、住宅ローン減税やすまい給付金など各種の住宅購入支援策が拡充・導入されることもあり、駆け込み需要が発生し、その反動減は限定的としている。
新規供給戸数は、首都圏では2018年12月の分譲中戸数が9552戸に増えたこともあり、この後は在庫販売へ注力すると判断し、2018年並みの3万7000戸、近畿圏でも2万戸程度の供給にとどまるとみている。
また、都心地域を中心に供給が行われる希少性の高い物件の販売は、2019年も好調に推移。郊外・近郊地域に加え、都心でもグロス価格を抑制した物件の供給も始まるため、2019年の販売状況は2018年を若干上回ると予測した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 札幌・名古屋・福岡で2020年までにホテル1.5万室が供給も客室不足に、CBRE
CBREは、特別レポート「2020年のホテルマーケット展望―地方都市で高まるインバウンド需要とホテル開発動向」を発表した。札幌、名古屋、福岡で2020年までにホテル1.5万室が供給されるが、いずれの都市も客室は不足すると予測する。 - “コワーキングオフィス”の開設面積2017-18年で過去17年間超え、2020年はオフィスビル大量供給で発展期へ
事業用不動産サービス・投資企業のCBREは、ここ数年都内の賃貸オフィスビルで増加している共働ワークスタイルのオフィス「コワーキングオフィス」にスポットを当てたメディアセミナーを開催した。コワーキングオフィスを新たな働き方のプラットフォームと位置付け、現状と今後の見通しについて解説した。 - 人手不足は続き賃金上昇が“下請代金”の負担にも、保証会社が建設業の市況を公表
北海道建設業信用保証、東日本建設業保証、西日本建設業保証の3保証会社は、毎年四半期ごとに行っている建設業の景況調査の最新版(2018年10〜12月分)を公表した。2018年度第3四半期の概況を見ると、景気が悪いとは回答したのは「関東」が最多。業界の課題である人手不足も改善が見られず、人材を獲得・確保するための賃金上昇が、下請代金のアップに伴う負担増や下請け確保の難しさとして影響してきている。 - 東京23区のオフィスビル供給量、2020年がピーク
森トラストがまとめた東京23区内のオフィスビル供給量の動向を示すレポートが公表された。これによると、大規模オフィスビルは2020年の東京五輪を頂点として、再開発により増え続けるが、五輪後にはブレーキがかかり、一転して急落するとしている。