国交省の予算概要から見る市場展望、2019年は「防災・減災」で前年度比15%の大幅増:建設市場動向(2/2 ページ)
ヒューマンタッチ総研は2019年1月31日、独自レポート「2019年度予算案から見る建設市場の動向」を公表した。
国の建設投資は、五輪後に「防災・減災」で増加する?
このように増大する公共事業関係費や東京オリンピック・パラリンピック関連の建設需要を背景に、建設市場は堅調に推移している。
国土交通省が発表している月別の受注工事高と手持ち工事高の推移を見ると、2018年11月の手持ち工事高(受注した工事金額のうち、その時点で工事が終わっていない金額)は、32兆8441億円。2017年11月の33兆9537億円よりも減少したものの、2016年11月の31兆7939億円は上回り、依然として高水準が続いていることがうかがえる。
また、建設業の売上高の先行指標となる受注工事高の推移についても、2018年度は2017年度並みの水準で推移しており、2019年度についても建設市場は堅調に推移すると予測している(図表4)。
ヒューマンタッチ総研所長・高本和幸氏は、「2019年度予算を見ると、防災・減災対策と老朽化したインフラの整備に大規模な予算が投入される方向性にあり、東京五輪後の2020年度以降も、建設市場は堅調に成長するのではないか。さらに2018年7月豪雨、北海道胆振東部地震など、自然災害が多発する中で、国民の生命と財産を守るための“防災・減災対策”は重要な課題と認識されており、今後も、防災・減災に関連する予算は確保されていくことが推測できる」。
また、「2018年11月に公表された国土交通省の試算(「国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計」)では、2018年度のインフラの維持管理・更新費用は約5.2兆円だが、5年後の2023年度は5.5〜6.0兆円、10年後の2028年度は5.8〜6.4兆円程度に増えると推計されており、インフラの老朽化対策についても予算額は上昇傾向が続く」。
上記のような状況を踏まえると、「建設業の人材不足は2020年の東京オリンピック終了後も継続が危惧され、中・長期的なスパンでの人材確保・育成策の推進と生産性向上への取り組みが、建設業各社の大きな経営課題になる」と予測する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 建設技術者の人材市場で地域による違いとは?中国地方/北関東で人手不足、逆に東北は25%も増加
ヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は、国内の建設業の人材市場動向をまとめた2019年1月分のマンスリーレポートをリリースした。今回は、かつてないレベルの人手不足に陥っている建設技術者について、総務省統計局の「国勢調査」のデータから、地域による違いを調査した。 - ヒューマンタッチ総研が「建設技術者の2025年未来予測」、生産性向上の取り組みで2025年の不足者5.8万人分を解消
ヒューマンタッチ総研は「建設技術者の2025年未来予測」の2018年度版を発表した。予測シナリオでは、2025年に必要な建設技術者は6万人以上不足するとみられるが、i-Constructionや働き方改革の生産性向上の取り組みによって、不足者数は1万人を切るまでに改善されるという。 - IoT・生産性向上ソリューション講習会開催、ヒューマンタッチ総研
ヒューマンタッチ総研は、「建設技術者のためのIoT・生産性向上ソリューション講習会」を開催し、音声認識技術やウェアラブルIoT製品、ドローン点検などが紹介された。