現地組立ての“大型溶接構造物”の据付施工で一連の作業を自動化、東芝プラントシステム
東芝プラントシステムは、現地組立てを行う“大型溶接構造物”の据付施工で、開先検査から、溶接・溶接部磨き、非破壊検査までの一連の作業を自動化する技術を確立した。
東芝プラントシステムは、現地組み立てを行う“大型溶接構造物”の据付施工で、開先検査(溶接する母材間に設ける溝の検査)から溶接・溶接部磨き、非破壊検査までの一連の作業を自動化する技術を開発した。
開先部を3Dレーザで計測し、各作業にフィードバックして自動化
新技術は、自動溶接を行う際、敷設するレール上に、アームが伸縮するロボット台車を走行。アタッチメント化した3Dレーザ計測器、溶接装置、レーザ磨き装置、非破壊検査装置などを作業工程に応じてロボットに搭載する。とくに、長尺の直線溶接部に有効な技術であり、溶接する突合せ開先部を3Dレーザで計測し、取得したデータを開先検査、溶接、後処理(磨き)、非破壊検査の各作業にフィードバックして自動化することが最大の特長となっている。
現地組み立て型大型タンクなどの溶接作業は、溶接部付近が高所になるケースも多く、安全を確保するための作業環境の整備が課題となっている。ロボット台車を活用した技術を用いることで、作業者の危険な高所作業がほぼ無くなる。
また、従来の自動溶接は、溶接の品質確保のため、走行レールの設置精度や開先合わせ精度などの条件によっては、操作者が常時監視しながら、溶接位置を補正する作業が必要だった。新技術では、最初に実施する開先検査で得た走行レールと、開先突合せ部との相対的な位置情報を記憶し、各工程に反映することで自動的に位置補正を行う。これにより、操作者の負荷が軽減され、操作者の力量に左右されない高い溶接品質を安定的に確保することが可能となる。
従来は、溶接およびその前後に付随する開先検査、溶接後の磨き、非破壊検査などの作業は、個々に行っていた。これらの作業を共通のロボット台車に統合し、自動化することで、各作業の準備時間の短縮や設備費用の低減につながる。ロボット台車は、適切な軌道を自動走行するため、操作者1人で複数台をコントロールができ、作業効率の向上と省力化が図れる。
東芝プラントシステムでは、これまで培ってきた現場工法と、今回確立した自動化技術を組み合わせることで、大型溶接構造物の製作・施工における技術基盤をより強固にするとともに、原子力発電所に設置される鋼製タンク、ステンレス製貯水槽などにも適用を検討し、受注活動も積極的に展開していくとしている。
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