施設間の競争勃発!?熱気を帯びる「天神ビッグバン」:再開発(3/3 ページ)
西日本経済の一翼を担い、アジアとのネットワーク上の結節点を形成するなど、グローバルな存在感を日増しに高めている福岡。その中心となる福岡市中央区天神では民間ビルの再開発誘導施策「天神ビッグバン」が進行している。規制緩和の影響で、従来の高さ規制では建設できなかった100m(メートル)前後の超高層ビルが複数計画されるなど、街の姿が大きく変わろうとしている。
高級ホテルブランドの「ザ・リッツ・カールトン」を誘致
そして2019年1月9日、三菱地所はファッションビル「イムズ」の建て替えを発表した。天神地区の賑わい創出している市役所ふれあい広場に面し、1989年の竣工以降長年にわたって親しまれ、街の表情を形作ってきたビルだ。開発計画・スケジュールは今後明らかにされるが、2022年度内の工事着手を目標にしている。新しい施設では、「情報・文化受発信などを担うこれまでの機能に加え、新たな価値を創造していく」(同社九州支店)としている。
計画の場所は天神1-7-11の敷地面積約4600m2。現在のビルの正式名称は天神MMビル。施設名称の「INTER MEDIA STATION」の頭文字を取り“イムズ”と愛称されている。構造・規模は、SRC・S造(一部RC造)で、地下4階・地上14階建て、延べ床面積は4万4900m2。
福岡市が2015年2月に打ち出した天神BB。天神交差点から半径約500m、約80haが対象範囲とされている。国家戦略特区の特例として、航空法による建物の高さ制限や容積率を緩和することなどをメニューとして、同地区内での民間ビルの建て替えを促している。
同市は2024年までの10年間に30棟の建て替えを誘導し、新たな空間と雇用を創出するなど、建設投資効果で2900億円、年間の経済波及効果で8500億円を試算している。
天神BBが呼び水となり動き出した事業は、いずれも天神、福岡、あるいはアジアの拠点を標ぼう。各事業主体が、いわば天神BBに貢献するべく、威信をかけて計画してきている様子が見て取れる。
そして天神BBは、総体として同地区の都市としての機能・役割を向上させ、国際的なプレゼンスを高めていくことになる。その次のステップでは、どの施設が天神の新しい中核となるのか、「都市間競争」とならず、天神地区でこれまでにも度々起きた「施設間競争」が再燃することが見込まれる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 5つ星ホテルの国内初出店など2022年8月に街びらき、“宇都宮駅東口”の再開発概要が明らかに
宇都宮駅東口のPPP方式で行われる整備計画の概要が明らかになった。対象敷地2.6ha(ヘクタール)に、建設費455億円を投じて、コンベンションホールや交流広場などの公共施設と、複合施設2棟や分譲マンションの民間施設を2022年8月の“街びらき”を目指して整備する。 - 大和ハウスらが500億円を投じ、新札幌駅近くの団地跡地で5.5万m2の大規模再開発
大和ハウス工業ら6者から成るコンソーシアムは、札幌市厚別区のJR「新札幌駅」にほど近い、「市営住宅下野幌団地」跡地の約4万9000m2(平方メートル )の土地を取得した。この土地では、「(仮称)新さっぽろ駅周辺地区G・I街区開発プロジェクト」として、総事業費500億円を投じて、開発総面積5.5万m2の大規模開発を行う。計画では教育機関2棟、医療施設4棟、商業施設、ホテル、分譲マンションの新設が予定されている。 - 五輪選手村跡地の再開発全容、東京の“どまんなか”に5632戸・人口1.2万人の街が誕生
東京・晴海五丁目西地区で、東京オリンピック・パラリンピック大会の選手村跡地を活用する再開発計画の事業名称が「HARUMI FLAG(ハルミ・フラッグ)」に決定した。東京湾に面した都心中央部の広大な敷地13ha(ヘクタール)に、5632戸の分譲・賃貸住宅と商業施設の計24棟を建設し、計画人口1万2000人の新たな街が誕生する。 - 2008年から再開発でトラブル急増の「所有者不明の土地」、利活用を推し進める特措法が施行
人口減少や高齢化の影響で所有者が不明となった「所有者不明土地」。その所有者探索の方法と、有効利用を定める「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が2018年11月15日、一部施行した。