積雪量や除雪車運行の“IoT見える化”で除雪作業をスマート化?BIGLOBEとMomoが会津若松市で実証:センシング技術
MomoとBIGLOBE(ビッグローブ)は、無人積雪量測位と除排雪車の運行管理をIoTで連携させた「統合的除排雪システム」の2019年8月発売を目指し、福島県会津市で実証実験を開始した。両社は、この取り組みの実用化によって雪寒地域のスマート化を目指す。
Momoとビッグローブは、除雪工事にIoT技術を導入し、広範囲の積雪情報や除雪車の稼働状況を“可視化”する統合的システムの実用化に向けた協業を開始した。
無人積雪量測位と除排雪車の運行管理をIoTで連携
2社の役割は、Momoが無人積雪測位が可能なIoT対応の積雪測位システムを開発し、ビッグローブは除排雪車の運行を管理するLTE通信機能を備えたIoT端末「BL-02」を提供する。
既に両社のIoT機器を組み合わせ、2018年12月26日から会津若松市で実証実験を進めている。実験では、無人積雪測位データと、除排雪車の運行管理システムを連携させることで、構想中の統合的除排雪システムの実効性を検証する。
Momoの積雪センサーは、人が測定していた積雪量をレーザーで自動計測する「IoT積雪センシングシステム」。小型(W8.2×H8.0×D8.6cm、0.3kg)かつ電池駆動のため、結束バンドで電柱や標柱に固定するだけで設置が完了し、道路工事や電線引き込みなどの大規模工事は不要となり、コストを抑えて遠隔地の積雪測定が可能になる。
通信方法は、デバイス同士が直接を行い、“マルチホップ通信”に対応しているため、他の端末を経由すれば、より広範囲な通信網が構築できる。さらにゲートウェイ端末を設置可能ならば、通信回線は必要なくなる。
会津若松市の実験では、市内4カ所にセンサーを設置して計測。MomoのIoTプラットフォーム「パレットIoT」と連携させることで、BL-02のLTE通信を介してクラウドに送られた積雪情報を自動表示している。これまでは、自治体職員の目視で3時間かかっていた積雪確認が即時に把握できるようになった。
また、LPWAを使った特定エリアの詳細な積雪情報の計測も検証。IoT積雪センシングシステムを中心に据え、低消費電力でマルチホップ通信が可能な“LPWA”対応の簡易積雪センサーを複数設置することで、モバイル回線費用を抑制しながら、特定エリアの詳細な積雪情報を取得することができるかを試した。
ビッグローブのBL-02は、除排雪車のエンジンと連動させることで、運転手の負荷を軽減しながらリアルタイムの自動トラッキングを行うGPSや10軸センサーを搭載したIoTデバイス。2019年1月から、地方自治体における除排雪車の運行管理端末として実証用に提供している。
実験では、BL-02を除排雪車に搭載して、効率的な運行管理や複数自治体での重複申請といった不正防止など、除雪事業に関する課題解決の可能性を探る。さらに、除雪後の問題となっている雪捨て場での渋滞を監視するなど、非効率化の要因も洗い出す。
これまでの除雪作業は、人手による積雪状況の確認や住民からの要望で除排雪車を急に出動させるなどがネックとなり、効率化するのは難しいとされていた。しかし、Momoとビッグローブが開発したシステムであれば、積雪情報のリアルタイム確認から、除排雪車の適切な配備と運行管理、排雪作業のスピード向上まで、除雪作業に関わる一貫した課題解決が期待できる。
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