視界不良でも3次元でクレーンの作業現場を可視化、BIM×センサー×AIを融合させた大林組の“マシンガイダンス”:BIM×センサー×AI=情報化施工(2/2 ページ)
大林組は、BIMモデルをクレーンに取り付けたセンサーと連携させ、クレーン内のモニターにリアルタイムで操作量などを表示して情報化施工を可能にする「マシンガイダンス」を開発した。既に、5つの現場で導入実績があるという。
クレーンに取り付けたセンサーでクレーンの操作量を“数値表示”
操作面では、揚重対象となる部材の取り付け位置を画面上で選択すると、現在位置からのクレーンの操作量を数値化。クレーンの動きに連動して、リアルタイムで画面に表示される。
揚重対象部材の取り付け位置の座標は、BIM上の設計情報から取得する。クレーンの動きは、タワーとジブの2カ所に取り付けたジャイロセンサー、クレーンの位置はRTK-GNSS(全地球測位システム)でそれぞれ計測し、誤差数cm(センチ)の高い精度でガイダンスが可能になる。
このため、経験の浅いオペレーターでも、画面に表示される操作量を参考にして操作すれば、運搬位置を指示する無線連絡の頻度が少なくて済み、安全かつ効率的な作業が可能になる。熟練の操縦者ではなくても、作業エリアが制限された難しい建設現場での作業が容易となるため、オペレーター不足の解消にもつながる。
従来の作業範囲規制装置は、クレーンごとで専用に設計されていたため、他のクレーンへの転用は難しく、大型ゆえに取り付け作業にも労力がかかっていた。新システムでは、クレーンの位置およびタワーとジブの角度、旋回角度の情報を取得するセンサーをそれぞれユニット化し、クレーンの機種を問わず、容易に後付けできるように設計されている。
ユニット自体は、持ち運びやすいサイズに分割されており、クレーンへの装着はボルト締めと配線ケーブルの接続のみで、特殊な工具や技能は不要。これまでの規制装置よりも、設置費用が安価で扱いやすいという特長がある。
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