照度・風量の測定結果を“BIMモデル”に自動取り込み、50%の省人化を達成した「検査業務デジタル化」:BIM
竹中工務店は、「水圧・満水試験」「照度測定」「風量測定」といった設備検査の結果が、BIM(Building Information Modeling)モデルに属性情報として自動で取り込まれ、検査報告書が作成されるまでの一連のデジタル化手法を構築した。検証試験のうち、照度・風量の測定では50%の省人化につながったという。
竹中工務店は、施工管理のデジタル化による施工管理の効率向上の一環で、デジタル測定器とBIMモデルを連携させ、設備検査業務を効率化する手法を構築した。
“設備検査”の全フローがデジタル化、測定データをBIMモデルに集約
設備工事の各段階では、品質確保のため、「水圧・満水試験」「照度測定」「風量測定」などの設備検査が必要とされている。近年は、デジタル測定器を用いた検査手法が普及してきてはいるものの、検査箇所を記録する野帳作成や報告書の作成はこれまで通りアナログで、作業全体がデジタル化されていないため、非効率となっている。
そこで竹中工務店は、これまで現場でiPadで測定結果を入力し、事務所に戻ってからPCに送信して、検査報告書に転記していた作業をBIMモデル上で一元管理することにした。これにより、検査員の省人化に加え、報告書の自動作成などによって検査業務に関わる時間短縮が図れる。さらに、検査結果がBIMモデル上で1か所にまとまるため、検査履歴をさかのぼって確認する「トレーサビリティ」にも役立つ。
デジタル化した検査の流れとしては、デジタル測定器で計測したデータをBluetoothでぺアリングして、測定結果をBIMモデルに自動で反映。測定記録は自動計算し、図面や写真帳票も加えた検査報告書を自動で作成する。
検査業務のデジタル化にあたっては、デジタル測定器メーカーと協業し、BIM側に測定データを取り込むシステムとユーザーインタフェースは、コンピュータシステム研究所の「BIM/CIM Ark(アーク)」を使用した。BIM/CIM Arkは、属性情報の表示・追加・編集が行え、ExcelやCSV形式で出力することができるBIMソフトウェア。
実際に竹中工務店の作業所で実証を行った結果、測定の省人化や検査報告書の自動作成などによる検査時間の短縮化が確認されたという。このうち、水圧・満水試験では20%程度の検査効率の向上、さらに照度・風量測定では50%の測定人員の削減となり、2人から1人への省人化が実現した。
竹中工務店では、今後は実物件の導入を検討しつつ、施工データのデジタル化によって得られたデータをAIやIoTといった技術とも連携し、付加価値の高い建物の提供を目指していく。
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