東関東支店の“ZEB化”改修が国際的な省エネ表彰で国内初の最優秀賞を受賞、竹中工務店:ZEB
竹中工務店は、東関東支店のZEB(ネット・ゼロエネルギービル)化改修工事が、国際表彰制度「ASHRAE Technology Awards」で、国内初となる最優秀賞を受賞したことを明らかにした。
竹中工務店の東関東支店で実施した“ZEB(ネット・ゼロエネルギービル)化”改修工事が、「ASHRAE Technology Awards」の世界選考(Society competition)で最優秀賞(First Place Winner)を受賞した。同賞の受賞は、既存一般建物部門(Existing Commercial Building)では、国内初のことになる。
省エネ性能と快適性の両立を実現
ASHRAE Technology Awardsは、ASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)が主催する省エネルギーをはじめ、室内の空気環境や快適性、革新的な設計といった評価項目を高い水準で達成した“環境建築”に与えられる国際的な表彰制度。世界各地域をRegion I〜XIVと、計15地域に分類し、各地区の代表物件が、世界選考(Society competition)にノミネートされる。東関東支店は、2017年8月にアジア地域(Region XIII)の優秀物件として世界選考に進み、既存建物の業務用途分野で最高評価を獲得した。
東関東支店のZEB化改修は、2015年10月〜2016年3月に行った国内初の実用建物におけるネットZEB化改修プロジェクト。2003年に竣工した建物で、執務を続けながら、省エネはもちろん災害時に備えるBCPや快適性の向上など、建物に付加価値を付与するリニューアルを実施した。
ZEB化では、優れた省エネ性能とともに、快適な室内環境、地中熱・太陽熱の直接利用による放射冷暖房、知的生産性の向上を目的としたさまざまな技術を採り入れている。
具体的には、太陽光発電と蓄電池による「自立型ZEB」をはじめ、断熱性の高いガラスを使用した「ダブルスキン外装」のファサード、室内に取り込む空気の除湿を行うことで、温度をそれほど下げなくても快適な環境を提供する「空調システム」、創られるエネルギーと消費するエネルギーを統合的かつリアルタイムにコントロールする「クラウドシステム」などを導入。
他にも、オフィスワーカーの代謝量や心拍数をウェアラブル端末で測り、空調制御に生かす「ウェルネス制御システム」、超コンパクト型の「デシカント(調湿式)空調機」など、省エネと快適性の両立を実現する先進的な取り組みを多数行っている。
東関東支店の構造・規模は、RC・S造、地上2階建て、延べ床面積は1318m2(平方メートル)。敷地面積1432m2のうち建築面積は679m2。
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