人手不足は続き賃金上昇が“下請代金”の負担にも、保証会社が建設業の市況を公表:建設業の市況概要(2/2 ページ)
北海道建設業信用保証、東日本建設業保証、西日本建設業保証の3保証会社は、毎年四半期ごとに行っている建設業の景況調査の最新版(2018年10〜12月分)を公表した。2018年度第3四半期の概況を見ると、景気が悪いとは回答したのは「関東」が最多。業界の課題である人手不足も改善が見られず、人材を獲得・確保するための賃金上昇が、下請代金のアップに伴う負担増や下請け確保の難しさとして影響してきている。
建設労働者の賃金上昇に伴い、「下請代金」が今後の負担に
「資金繰り」に関しては、今期は支払手形の平均サイトは「91〜120日」「90日以内」の順。受取手形は、「91〜120日」「121〜150日」で比較的「容易」な状態が継続している。ただし、来期の資金繰りは、2016年度の第3四半期に前期比▲0.5マイナスだった時以来、「厳しい」に転じて▲2.5となる。北海道と東海を除く地区では難しくなる見通し。
銀行などの貸し出し傾向は、今期・来期ともに「容易」。しかし、短期借入金は「減少」で、短期借入金利は、「不変」とする企業が9割強を占め、基調は変わらないものの、下降は続く。
「資材」の調達は、今期・来期は同様の結果で、ここ最近は難しくなっており、2018年第2四半期から前期割れが2期連続で続く。第4四半期は、▲6.6に転落する。資材価格については、2016年度の第2四半期からの上昇傾向は変わらず、引き続き資材価格は上昇している。2018年度の第4四半期は前期比で18.5ポイントのプラス。
特に調達が困難なものとしては、建築では「形鋼・厚板」や「棒鋼」、土木は「鋼矢板・鋼管」。資材価格が上昇したものは、「生コン・セメント」。他に土木で「コンクリート2次製品」「砂利・砕石・砂」、建築は「形鋼・厚板」「鋼矢板・鋼管」。
建設労働者の「賃金」は、今期・来期ともに上昇は変化なし。人材の確保は、2011年3月を起点に前期比マイナスが拡大しており、人手を確保するのは依然として厳しい状況にある。
より詳細にみると、確保が困難な職種は、土木が「普通作業員」「特殊作業員」「型枠工」の順番。建築は「型枠工」「大工」「鉄筋工」が不足している。設備では特筆して「電工」「配管工」が足りていない。「軽作業員」は比較的容易に補える状態にある。
全国の建設会社における「収益」は、減少しているのは変わらず。要因として挙がるのは、「完成工事高の減少」(80.0%)が最多で、次いで「競争激化」(37.6%)、「人件費の上昇」(27.6%)。これ以外に、ここ数期は「下請代金の上昇」(26.1%)も上がってきており、2019年度は「人件費の上昇」を上回る可能性がある。
現在、建設業が直面している経営上の課題では、「人手不足」(72.3%)が首位。「従業員の高齢化」(53.1%)と合わせてここ数年、増加している。他に「受注の減少」(37.0%)や「競争激化」(34.9%)は若干下がりつつあるものの、2018年度に入って大幅に増えた「下請の確保難」(26.7%)よりも、まだ高い回答数となった。
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