三菱地所がソフトバンクのAI清掃ロボット「Whiz」を100台導入、ビルメン業務の“働き方改革”に:ロボット×ビルメンテナンス
三菱地所は、ソフトバンクロボティクスが開発したBrainOS搭載のバキューム清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」を2019年4月より国内で初めて導入する。先立つこと1月17〜23日には実証実験を行い、省人化の効果や導入に向けた最適な利用箇所を検証する。AI清掃ロボットが実用化となれば、ビルメンテナンス業界が直面している人手不足の解決に期待がかかる。
三菱地所は、ソフトバンクロボティクスが開発したAI搭載のバキューム清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」を2019年4月から、三菱地所グループが所有・運営管理する全国のオフィスビル・商業施設・物流施設・空港・ホテル・マンションなどを対象に、約100台を順次展開する。
自律走行で500m2/hの範囲を自動で清掃
導入に先立ち、2019年1月17〜23日の1週間、Whizを用いた清掃の実証実験を本社が所在する「大手町パークビルディング」で行い、利用場所の形状や床材の違いによる清掃性能や清掃効率を検証する。
AI清掃ロボットWhizは、清掃効率・自律走行機能・費用面などで、ビルメンテナンス業務の課題解決に寄与することが期待されるため、三菱地所では、さまざまな実証実験を通して、実導入に向けた検討を進めてきた。これまで人手のみに頼っていた床面清掃の大部分をロボットに任せることで、人手不足に直面しているビルメンテナンス業界の働き方改革につながる可能性も見えてきたため、今回、本格導入に踏み切った。
Whizは、ソフトバンクロボティクスとソフトバンクが2019年3月以降に提供を予定しているAI搭載のバキューム清掃ロボット。人型の「Pepper」に続く、ソフトバンクロボティクスが開発・提供する2種類目のロボットとなる。
主にカーペットなどの床清掃を目的とし、自律走行が可能な乾式バキュームクリーナーを搭載している。清掃手順としては、最初に、同機を手押しで清掃ルートを移動させ、エリアの地図データを1度作成・記憶(ティーチング)すれば、2回目以降はスタートボタンを押すだけで、記憶した地図データに沿って清掃ルートを自律走行する。
OSには、米・サンディエゴに本社を置くBrain社が開発した「BrainOS」を採用。人工知能(AI)システムにより、複雑な環境を自在に自動で動き回れることが実現した。
清掃範囲は、おおよそ1時間で500m2(平方メートル)をカバー。バッテリーはリチウムイオン式で最大約3時間(ノーマルモード時)稼働するため、計算上は充電なしで1500m2を自動で清掃することが可能だ。
ルート上に人や障害物がふいに現れても、装着しているLiDARセンサーや3Dカメラで検知して回避する。他にも、衝撃検知の機能を備えたバンパーや段差や車輪浮きといった異常を認識するセンサーも装備し、緊急時にはブレーキが自動で作動。緊急停止時や走行不能となった場合には、機体付属のお知らせブザーやアプリにアラートを通知する。
また、PCやスマートフォン上では、分析レポートによる状況確認が行え、リアルタイムで稼働状況が管理サイトやアプリから、いつでもどこからでもチェックできる。
本体のサイズは、幅約474×全長455×全高653mm(ミリ)。ハンドル引き伸ばし時は全高約1000mm。コンパクトな大きさのため、小さい部屋などでも小回りよく、隅々まで清掃する。
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