ザハ・ハディド氏の遺作「新店裕隆城」を熊谷組が受注:海外事例
熊谷組は、台湾の新北市で、裕隆汽車製造股フンから建築家・ザハ・ハディド氏の遺作となった超高層複合ビル「新店裕隆城」の新築工事を受注した。
熊谷組の100%子会社である華熊營造は、台湾の新北市でザハ・ハディド氏が基本設計を手掛けた「新店裕隆城開發案商業区新築工事」を受注した。
超高層住宅TOWER棟と大規模商業施設PODIUM棟で構成
プロジェクトでは、台湾の自動車大手の「裕隆企業集団」が新北市新店区で進める開発計画のうち、第1期工事となる商業区に、3棟の超高層住宅と大規模商業施設が一体化した大型の複合ビル「新店余裕隆城」を建設する。
複合ビルは、地上40階建ての超高層住宅3棟からなる「TOWER棟」と、TOWER棟の下部から大きく張り出した地上8階建ての大規模商業施設の「PODIUM棟」で構成。PODIUM棟の外観は、屋根から外壁にかけて連続的に流れるような曲面を形成しているアルミパネルとカーテンウォールを備え、緩やかな曲線を描く大スパン立体トラスと、これに囲まれた複数の大きな楕円形のトップライトが近未来的な外観を成す。
PODIUM棟の内部は、地下5〜2階には駐車場、地下1階〜5階はデパート店舗、4・5階映画館、6階レストラン、7階機械室、最上階の8階にはプールと屋上庭園を整備する。
一方のTOWER棟は、台湾の住宅としては最も高い172m(メートル)・40階建ての超高層住宅。構造には、座屈拘束ブレースとダンパーによる制震構造を備えている。内部は9階から40階までを集合式住宅600戸(25〜50坪)とする。
基本設計は、特殊な設計で施工が難しい「アンビルド建築」を数多く手掛けたイラク出身の建築家ザハ・ハディド氏。ハディド氏は2016年3月に急逝したため、この建物が生前に手掛けた遺作となり、台湾では唯一の建物になる。
施工は、熊谷組の現地法人・華熊營造をスポンサー会社とする中華工程とのJVで担当。2019年3月の着工(掘削開始)を予定している。
これまでにも熊谷組と華熊營造は、2004年に完成時に世界一の高さを誇った「TAIPEI 101」(高さ508m)を受注。2013年には台北市でDNAのらせん構造のような外観を有する高層芸術住宅「陶朱隠園」も手掛けている。
こうした台湾での豊富な実績から、建設工事で培った技術力やノウハウを活用し、世界的にも著名なザハ・ハディド氏が設計した物件の受注獲得に至った。
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