“結露ゼロ”目指し、情報を一元化した学習システムを戸田建設が構築
戸田建設は、建物で発生する結露について、学んで生かせるシステム「結露防止対策Navi」を構築し、社内運用を開始した。
戸田建設は、結露について学んで生かせるシステム「結露防止対策Navi」を構築した。このシステムでは、結露に関するメカニズムや事例をまとめ、設計・施工、その後の運用段階で、結露対策が行えるように技術者の学習機会を提供する。
結露防止対策Naviは、これまでに蓄積された結露に関する情報を社内イントラネット上に一括してまとめ、結露発生のメカニズムとその対策を体系的に学べるシステム。設計・施工の技術者がシステムを利用して、結露に関する多様な事例を参考に、発生のメカニズムと適切な対策手法を身に着け、適切な設計・施工時の対策を施すことで、建物の結露ゼロを目指す。
結露は、建材の腐食や錆などの発生による構造上の性能劣化に加え、工場・倉庫に保管された商品の品質低下やカビ・ダニ繁殖による居住者・利用者の健康被害の問題を引き起こす。これを防ぐためには、設計・施工の技術者が建物の運用方法を理解したうえで、適切な結露防止策を施す必要がある。
しかし、これまで結露対策に関する技術資料は数多く存在するものの、分散していて参照しづらいことが問題だった。そこで、戸田建設は建物の結露ゼロを実現するため、蓄積された結露に関する情報を一元化し、社内の技術者が結露に関する幅広い知識を身に付け、実務に活用できる仕組みを構築した。
結露防止対策Naviでは、原因(建築と設備)と発生時季(夏と冬)に分類。それぞれで生じやすい部位と発生メカニズムをイラストを用いて解説している。
対策手法は、事例シートと合わせて併記し、事例の原因と教訓から、これに対してどう対応すべきかを建物の用途や部位ごとに紹介。現場で実施可能な応急的な処置と、発生原因に立ち返った根本的な対策手法の両方を示している。さらに設計・施工時だけではなく、運用に関する事例や注意事項も集約している。
システム利用者の学習度判断には、理解度チェック問題を用意し、単に「見る・読む」だけでなく、対策手法を自ら「考える」ことで理解の定着を図っている。
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