日本進出50周年を迎えたヒルティが、「工具はどこに行った?」を解決するIoT資産管理“ON!Track”:IoTで建設現場の課題を解決(2/2 ページ)
リヒテンシュタインに拠点を置き、建設向けプロフェッショナル用の工具をグローバル市場に供給しているヒルティは、2018年で日本進出を果たしてから50周年を迎えた。この機に、日本の建設市場で工具や重機といった資産をICT技術によって一元管理する新たなソリューションを本格展開する。
シンプルなインターフェスで作業効率を上げる使いやすさ
大久保 海外ではローンチ後の3年間で既に6000社以上で導入されており、モノがどこにあるかだけに限らず、汎用性が高いため他の使われ方も多い。例えば、現状では事務所のボード上でマグネットによって管理している人工は、個別のヘルメットにバーコードを貼れば、この現場に誰が行ったか、何人を投入したかが一目で分かり、工事費の可視化にもつながる。
――スマホアプリの操作性
大久保 ON!Trackは、建設向けを考慮して、意図的にシンプルな製品設計を採用している。機能が増えれば操作に戸惑うが、アプリのUI(ユーザーインターフェス)も、「追加」「移動」「納品の確認」「在庫の確認」「探す」「情報を見る」の厳選した6つのボタンしかなく、常時使うのはこのうち2つだけ。
全体の管理はセキュリティの高いWebベースで、資産の移動履歴の閲覧、従業員や現場の登録、資産・認証・サービス・従業員に関するレポート出力などが行える。従業員データには、建設業で必要な多数の資格証明なども登録でき、更新時期に近づくと、従業員のスマホや管理者のPCに自動通知が配信される機能も備わっている。
大久保 ON!Trackの利用料金は月額制で、導入にあたっては、ヒルティのコンサルタントが既存の工具や備品の内容を確認。管理プロセスをヒアリングして現状を分析し、ニーズに応じて、資産を補完する倉庫や現場名の登録、アクセス権限などの各種設定をして利用環境を整える。実際にバーコードを貼り付ける際には、工具や備品の汚れ落としまでを行い、システムに情報を登録する。さらに、従業員が確実に使いこなせるように、ソフトウェアやスマホアプリの使い方などのトレーニングもフォローアップしている。
――次の展開は?
大久保 バーコードは、耐久性の高い専用のフィルム以外にも、頑丈なキーホルダータイプもある。また、ON!Track第3世代として、“Bluetooth”搭載タイプも2019年春ごろのリリースを予定している。これまでのバーコードでは、職人がスキャンしない、管理工数が増える、リアルタイムでの位置情報が分からないといったハードルがあったが、これが解消される。
Bluetoothであれば、スキャンの読み取りが不要になり、スマホの通信を介して常に情報がアップデートされる。Google マップ上にもピンを落とせ、GPSよりも大幅にモジュールの通信量を抑えた形でより正確な管理が実現する。アナログのバーコードと、第3世代を組み合わせて、ユーザーの要望に応じた最適なIoTソリューションの提案をして、建設業の生産性向上に資産管理というアプローチで寄与していきたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 建設業界に働き方改革をもたらす、大林組が選んだ単なるストレージサービスではない「Box」
Box Japanは2018年11月28日、建設業界向け「現場もデジタルな働き方改革実践セミナー」を東京・千代田のBox Japanセミナールームで開催した。セミナーでは、ストレージサービス“Box”による建設業のICT化をゼネコンの導入事例や建設向けアプリケーションなどのプレゼンを通して提案した。 - 建設現場で危険予知にAI活用、IoTセンサーとAzureを組み合わせたエッジ画像処理の実証実験を開始
協和エクシオは、自社のIoTセンサーと、Microsoft Azure IoT Edgeを活用した「Vision AI Developer Kit」を組み合わせた実証実験を開始した。これまでAIを導入することが難しいとされてきた建設現場やビルなどに適用し、IoTセンサーと組み合わせたエッジ画像処理で、現場の危険予知や施設の防犯などに役立てていく。 - 大量の図面管理と顧客管理を一元化、「&ANDPAD」に図面共有機能のアプリが追加
オクトは、建設プロジェクト管理サービス「&ANDPAD(アンドパッド)」と連携した図面をスマートフォン上で一元管理できるアプリ「&ANDPAD図面」のβ版をリリースした。大量の図面をクラウド環境で管理し、アクセスするデバイスや場所を選ばずに閲覧・書き込みが可能になる。 - 建設現場の報告書作成を大きく簡易化する“音声入力アプリ”に新機能追加、アドバンスト・メディア
建設・不動産業界向けのiOS版音声入力キーボードアプリ「AmiVoice スーパーフロントエンダー」が2018年9月1日にバージョンアップする。建設現場でiPhoneまたはiPadから音声入力したテキストや撮影した写真を、ワンタップで事務所のWindows PCへ転送可能にするなど、さらなるユーザビリティの強化が図られている。