第4弾の技術公募は「流量観測機器」、ICTで洪水流量算定の無人化・省力化を目指す:革新的河川技術プロジェクト
国土交通省は、第4弾となる「革新的河川技術プロジェクト」の募集を開始した。対象技術は、河川の流量算定のために表面流速を観測可能な「流量観測機器」で、無人化・省力化に向けた流量観測機器を開発する企業を募集する。応募締め切りは2019年1月10日まで。
国土交通省は、オープンイノベーション(異分野連携型)に手法で最新のICT技術を河川管理に実装し、災害対応の高度化を図る「革新的河川管理プロジェクト」を進めている。オープンイノベーション型(異分野連携型)技術開発とは、自社だけでなく他社や大学、地方自治体、起業家など異業種、異分野が持つ技術、サービス、ノウハウ、データを組み合わせ、革新的な製品開発をスピーディーに実装化することを目的に行うプロジェクト。
これまでに初弾のクラウド型・メンテナンスフリー水位計/全天候型ドローン、寒冷地対応の水位計、簡易型監視カメラの開発に取り組んできた。実際に2018年7月豪雨では、革新的河川管理プロジェクトで開発された危機管理型水位計や全天候型ドローンが活躍している。
無人・省力(2人)で表面流速観測が可能な観測機器の開発
今回、第4弾として、「流量観測機器」に関連するセンサー、画像解析、システムなどの要素技術を有する企業の募集を開始した。募集期間は2019年1月10日まで。
プロジェクトの背景には、洪水時の流量観測は「浮子観測」を基本としているが、近年、激甚化する豪雨により、全国で1100カ所ある水位流量観測所の能力を上回る洪水が発生し、流量観測の確実性や最低でも5人の配置が必要な観測員の安全性確保が課題となっていることがある。これを解決するため、無人化・省人化が可能なICT技術による流量観測を開発することがねらい。
対象となる流量観測機器は、無人もしくは省力(2人程度)で流量算定のための表面流速観測が可能な観測機器。水位流量観測所の近傍の河川堤防や橋梁などに固定し、水面幅に応じた測線間隔での表面流速を観測する(測線間隔は浮子計測の間隔を基本とする)。
電源は、水位流量観測所が使用している電源の活用を想定。洪水後に流速の観測データをデータロガーに保存し、また流速観測時には流速データの速報値をインターネットで送信することも求められれる。
技術仕様では、接触型・非接触型・固定式・非固定式を問わないが、観測間隔は固定式は洪水時に10分以下、非固定式は1時間以下。豪雨(50mm/h以上)でも異常値なく、夜間でも観測が可能なことが要求されている。
必須条件ではないが、オプションとして、既存の電源・通信設備が無い場合や停電時に連続3日以上の稼働の他、寒冷地(-20〜40℃)、リアルタイムでの水位計測や河道の流量算定への対応が設定されている。
今後のスケジュールは、2019年1月10日までの募集後、3月末までに開発チームを結成と事業計画書を作成。現場実証は2019年7月〜2020年3月の期間で、1級河川の信濃川水系信濃川 小千谷観測所(新潟県小千谷市元町)、雲出川水系中村川 島田橋観測所(三重県松阪市嬉野八田町)、太田川水系太田川 飯室観測所(広島県広島市安佐北区安佐町)で行い、現場への導入に向けた検証を進める。
これまでの革新的河川技術プロジェクトでは、危機管理型水位計と全天候型ドローンが既に実装済み。第3弾の簡易型河川監視カメラはまだ開発段階にある。危機管理型水位計は、導入コスト100万円/台以下で長期間メンテナンスフリー(無給電で5年以上稼働)、通信コストを低減できるものを開発。ドローンは風速20m/sの強風下でも安定して自律航行可能な機体が現場に導入された。
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