機械式シート敷設工法で遮水シートの敷設作業を管理型海面処分場に初適用、1週間の工期短縮
東洋建設は、機械式シート敷設工法による遮水シート敷設作業を管理型海面処分場に初めて適用した。
東洋建設は、機械式シート敷設工法による遮水シート敷設作業を管理型海面処分場に初適用した。
陸上で幅広加工、海上で巻き取った遮水シートを送り出し敷設
今回の工事では、まず陸上ヤードで、遮水シートとその両面に配置される保護マットで構成された三重構造の原反(幅2×長さ50m)を幅21mまで幅広加工を行い、直径900mm(ミリ)の鋼管軸に巻き取った。その巻き取った約1000m2(平方メートル)の遮水シートを起重機船上に設置した機械式シート敷設機に取り付け、護岸上でシート端部を固定した後に鋼管軸を回転させて送り出しながら敷設した。
従来工法では、全て海上での作業になり、荒天休止による工程遅延が発生することも少なくなく、また幅広加工したシートの曳航(えいこう)中や長期間の浮遊中には、しわの発生や荒天時には流出するおそれがあった。機械式工法では、陸上でシートの溶着と巻き取り、起重機船に積み込んで、海上で天端の固定と海上溶着を行い、陸と海で作業を分けることで従来工法の課題を解決し、効率化することが実現した。
初採用した工事は、茨城県発注の「県単常臨第27-06-078-Z-001号・県単常整第27-06-079-Z-001号(合併)次期処分場護岸築造工事(既設その2)」。海象の影響がない陸上で原反の幅広加工を行ったこと、および海面での浮遊期間を短縮したことで、従来工法に比べ1週間ほど工期が短縮したという。
また、端部の固定による出来形確保、シート損傷リスク軽減による品質確保といった効果も確認された。
機械式シート敷設工法は、埋立造成を対象に、波浪や潮流によって捨石の隙間から土砂が流出するのを防ぐため、捨石マウンドに防砂シートを敷設することを目的に開発。これまで敷設作業は、潜水士の人力に頼り、水深が深くなると作業効率、安全性に問題が生じていた。
機械式工法は、敷設作業を機械化し、マウンドの凹凸に柔軟に追従する高伸度シートも開発し、捨石マウンドのならし作業が不要となり、20m大水深での施工が可能となった。シートの敷設管理は、GPSによるクレーン船の位置決め装置と超音波距離計による敷設機水中位置検出装置を組み合わせた施工管理システムで行い、情報はCRT画面に表示され、これを監視しながら敷設する工程を踏む。
今回の実績について東洋建設は、機械式シート敷設工法が管理型海面処分場における遮水シート工の工期短縮と安全性・生産性の向上、品質確保が可能な工法であることを示すもので、今後も同種工事での活用を図っていくとしている。
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